さほどコストをかけなくても何かを試せたり、アプリケーション開発を試行できたりすることは、クラウドコンピューティングがもたらす利点の1つだ。では現時点で何が試せるのか?日本IBMが東京都内で開いたセミナーから、同社のPaaS(Platform as a Service)の「Bluemix」で試せることを紹介しよう。
試行錯誤しながらアプリケーションを迅速に開発し、実行し、改良するのに適したクラウド基盤といえばPaaS(Platform as a Service)である。IT部門にとっては、まだ馴染みが薄い面もあるかもしれないが、モバイルやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)関連の、いわゆる「Systems of Engagement」のアプリケーション開発に欠かせないのは確かだ。
PaaSの1つであり、オープンさを標榜するIBMの「Bluemix」が正式公開されて1年少々が経過した。この間、Bluemixはどこまで実用的になり、成熟してきたのか?それを知るイベントが9月2日に開催された。30分程度の短いセッションだったが、急ピッチで機能を充実させていることが分かる。できるだけ簡潔に紹介しよう。
セッションのタイトルは『IBM Bluemixの最新動向と今後の方向性』。講演者は日本IBMの浦本直彦氏(東京ソフトウエア&システム開発研究所 クラウド開発部長)である。冒頭に同氏が示した資料が写真1であり、この1年半の間に多くの機能追加や取り組みがあったことを示している。
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例えば、スマートマシンの先駆的存在である「Watson Service」、米Twitterなどとの提携による「Twitter Insights」、2015年6月に発表された「IBM Container」などを試せるのは有用と言っていいだろう。「今、サービスは全部合わせると140を超え、日々増えている」と、浦本氏は強調する。大別すれば、Watson、Mobile、Web and Application、Integration、Data Management、Bigdata、Security、Business Analytics、Internet of Thingsの9項目がある。
写真1右上にある「Compose買収」も注目される。同社はNoSQLのMongoDBやRedis、全文検索エンジンの「Elasticsearch」、あるいはPostgreSQLといったデータベースをサービスとして提供する企業だ。この買収によりIBMはBluemix上で利用できるデータベースの種類を拡充する。ユーザー企業にとっても、面倒なインストールなしに、これらを試したり利用できたりするのは大きなメリットだろう。