ITサービスマネジメントが日本で普及して今年で十数年経つが、サービスデスクからITインフラ運用に至るエンドツーエンドの業務プロセスとデータ連携において、未だに人手に頼ったローテクの運用がなされており、それが運用効率とサービス品質のさらなる向上を阻害していることに多くの人は気付いていない。しかしこの分野でも技術革新が新たな時代を切り開こうとしている。
技術革新が可能にした
ITサービスマネジメントの新たな世界
これらの課題を解決するための有効なアプローチは、サービスデスクとITインフラ運用がそれぞれ抱える課題を解決すると共に、そのプロセスやデータの流れが分断されないような真の「統合管理」を行うことだ。ここでいう“統合管理”とは、従来からオンプレミスツールにおいて主張されてきた、「様々な機能をもつ独立した複数ツールをインテグレーション(統合)して活用する」という意味とは根本的に異なる。
この問題を解決する画期的なソリューションが、ServiceNowが提供するクラウドベースのサービスである。矢落氏は、「ServiceNowの最大の特徴は、ITサービスマネジメントに必要なすべてのアプリケーションが、クラウドベースのサービスとして、単一のプラットフォーム、単一のデータベースで構成され、ワークフローと一緒に統合された状態で提供されている点にあります」と説明する。
「ITIL バージョン3」をベースに設計されたServiceNowは、「サービスオートメーションプラットフォーム」と呼ばれる統合プラットフォームを基盤として、インシデント管理 、問題管理、変更管理、サービスレベル管理、CMDBといったサービスデスクの運営に必要な機能は当然のこと、IT以外にも展開可能なさまざまな業務プロセスを自動化するためのワークフローエンジンや、ユーザー独自のアプリケーションを開発するための機能が提供されている。これらの一元化された機能群を活用することで、これまで実現が困難であった運用プロセスの標準化と自動化を現実のものとし、業務の迅速化や効率化といった数々の改善を図ることが可能だ。
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それでは、従来のヘルプデスクツールと一線を画する、ServiceNowの特筆すべき機能と特徴について解説していこう。
■はじめにサービスデスクの領域だが、当然のことながら、エンドユーザーのフロント部分として 「サービスカタログポータル」が簡単に用意でき、エンドユーザーに対するサービスメニューを一元管理、すべての問い合わせやサービスリクエストを単一の窓口として受け付ける。サービスカタログに入出力されるデータは ServiceNowで統合管理されているため、入力された情報を記録できるだけでなく、サービスカタログの画面にインフラやIT資産の最新の情報を表示することも可能だ。
■ワークフローは業務プロセスを標準化、手動による煩雑な管理を自動化し、工数削減やエラー抑制を可能とする。サービスリクエストの進捗管理も行えるため、「自分のリクエストが今どういった状態にあるのか」をリアルタイムで参照することが可能だ。「これにより、進捗に関するサポートとのメールのやり取りがほとんど発生しなくなります。また、活動履歴がデータで記録されるため、分析して更なる業務改善に役立てることもできます。」と矢落氏は話す。
■ITインフラ管理の領域においても、様々な機能が統合されて提供されている。構成情報の自動取得を行う「ディスカバリー」、システムの構成変更を自動化する「オーケストレーション」、サービスの視点からシステム構成を可視化する「サービスマップ」、仮想化リソースのライフサイクル管理の「クラウドプロビジョニング」、大量のアラートを集約し、構成情報と関連付けて意味のある情報に変換する「イベント管理」といった機能群である。例えばディスカバリーでは、詳細なCI(Configuration Item:構成アイテム)情報を自動取得できるため、「自社開発したアプリケーションの固有の情報を取得し、ServiceNow上の資産管理情報と紐付けてして統合管理することも可能となります」(矢落氏)。
■また、特筆すべき機能として、ビジネスとITインフラを統合する重要な役目を担う「MID Server」も紹介したい。これは、顧客の環境にインストールすることでServiceNowとのインタフェースとして機能し、構成情報の収集や設定変更、データ取得等を行う小さなJavaアプリケーションである。矢落氏は、「MID Serverはデータの取得だけでなく、Active Directory情報の変更や、ユーザーからの問題報告に対してシステム診断コマンドを実行する、といった様々なコントロールを可能にします。ServiceNowの構成情報や資産情報と連動して動作することから、先進的なユーザーは数十種類を超える日々の変更作業をMID Serverでコントロールしています。考えられるルーチンワークのほとんどを自動化できます」と説明する。
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時代は”ITサービスマネジメント”から
“サービスマネジメント“へ
これらの多彩な機能群を提供するServiceNowだが、その機能は、IT部門がITサービスマネジメントを進化させるために役立つだけでなく、経理、人事、ファシリティなど、幅広い社内業務の“サービスマネジメント”にも活用することができる。矢落氏は、「企業活動自体がサービスの集合体と考えられます。例えば人事管理では、社員が入退社するたびに、アカウントの作成やファイルサーバーへのアクセス許可、PCの付与といったインフラの変更といった複数の業務が発生します。ServiceNowを使えば、そうした一連の業務をサービスとして管理でき、インフラ変更処理も含めワークフロー化し自動的に行えるようになります」と説明する。
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昨今、ビジネスの迅速性を高めるITインフラが求められているが、その実現に際しては、まずは足元を見つめ直し、自社のITサービスの在り方を再考していくことが重要だ。「冒頭でも述べたように、ITサービスマネジメントが抱える課題を解決するとともにユーザーからITインフラまでに存在する無数の分断を解消し、本来求められるエンドツーエンドの管理を実現できなければ、時代のスピードに対応可能なITインフラを実現することは不可能です。ServiceNowを活用することで、ITサービスの品質やシステムの稼働率が確実に向上、サービスが提供されるまでのリードタイムも劇的に短縮できるようになります」と矢落氏は強く訴えた。
●問い合わせ先
ServiceNow Japan株式会社
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