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経費精算サービスのコンカーが「Concur App Center」を国内投入、“APIエコノミー”で業務効率化を加速

2015年9月18日(金)川上 潤司(IT Leaders編集部)

経費精算サービスを提供するコンカーは2015年9月16日、協業パートナーのWebサービスやコンサルティングメニューなどとの連携を図る「Concur App Center」を翌17日から国内提供すると発表した。同社のイベント「Concur Fusion Exchange 2015 Tokyo」では米国本社のプレジデントが登壇し、急成長する日本市場への期待を語った。

 グループウェアのスケジューラで、ここ数週間の行動を振り返る。別途開いた経路検索サイトに出発/到着駅を指定して料金を確認。これまた別ウィンドウの経費精算画面に一件ごとに転記していく。タクシーを利用した場合には、その領収書の提出とと共に照合番号を付与することも必要。一連の作業を終えたらプリントアウトし、押印の上、上司に提出して承認を仰ぐ…。日頃の交通費の精算ひとつとっても、今なお手間のかかる事務手続きが必要という企業は決して少なくない。

 かくいう筆者も、毎月の締め日ぎりぎりになって、そうした面倒な精算業務に追われている1人だ。たまに、飛行機や新幹線を使った数泊の出張があったものなら、さらに精算業務は煩雑となり、いくら時間をかけても結局は不備が見つかって経理部門から突き返されるといったことも珍しくない。交通系ICカードでの乗車や、クレジットカードでの支払いなど、各所では“デジタル”処理されているはずなのに、どうしてこうも前時代的な業務を強いられるのか──。

 旧態依然とした姿が色濃く残っている経費精算の領域に目を付け、スマートかつ一貫的に処理するためのクラウドサービスを展開しているのが米コンカーだ。2011年には日本法人を設立し、国内事情に合わせた機能を追加しながらサービスを拡充している。

 例えば電車での移動が中心となる小口交通費の精算においては、Suicaなど交通系ICカードから乗車履歴や料金のデータを取り込んだり、経路検索サービスのジョルダンと連携して同様のデータを取得したりできるようにしたサービスを提供済みだ。もちろん、個人の負担軽減だけでなく、企業における経費の精算/管理業務全体を効率化すべく、練り込んだ各種のサービスを取り揃えている。

コンカー米国本社のプレジデント、エレナ・ドニオ氏

 「とても面倒でワクワクすることもない事務処理から皆さんを解放して、顧客や社会に価値を提供する“本業”に集中できる時間を少しでも多くすることが当社のミッションです」。こう語るのはコンカー米国本社のプレジデント、エレナ・ドニオ氏。10月16日に都内で開催したイベント「Concur Fusion Exchange 2015 Tokyo」のオープニングセッションでの発言だ。「今やFortune500の60%以上の企業が当社サービスを活用するまでになりました。処理トランザクション数に見る、ここ1年のワールドワイドでの平均成長率は18.5%ですが、日本は95.5%。とてもエキサイティングな市場です」(同)。

 日本市場が立ち上がりのタイミングで高い数字になったこともあるが、同社も積極的に関わったというe文書法の改正などで、コンカー上でできることの幅がぐっと広がることが背景にある。現状で、出張・経費精算の電子化の上限を3万円とする規制はこの10月1日に撤廃され、証憑を電子化したら紙の原本は廃棄できるようになる。電子化する際に「原稿台付きスキャナが必須」という条件についても米国などと同様、スマートフォンやタブレットのカメラ機能で代替可能にするという機運が盛り上がってきた。

 こうした変化を見据え、同社が日本で9月17日から提供を開始したのが「Concur App Center」。交通や宿泊、あるいは証憑の電子化、さらにはコスト最適化のコンサルティングなど、経費の精算や管理に関わる社外のプレーヤーにプラットフォームを開放し相互のサービスを結び付ける仕組みだ。App Centerそのものはコンカーのユーザーを対象としたポータルで、そこに掲示されるメニューを選択すると、コンカーとのサービス連携が図られる。経費精算のフィールドで、コンカーを主軸に“APIエコノミー”を形成しようとの動きともとらえることができる。

図1 「Concur App Center」の概要
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 App Centerを通じて連携できる(連携を予定している)サービスの例を挙げると以下のようなものだ。

  • JapanTaxi スマートフォン向けタクシー配車・支払いアプリ「全国タクシー」と連携し、領収書データを電子的に取り込む
  • Uber スマートフォン向けタクシー/ハイヤー配車・支払いアプリと連携し、領収書データを電子的に取り込む
  • クラビス 領収書の電子化サービス「STREAMED」と連携。スマホアプリで撮影した領収書の記載内容を、人手で正確に電子化した上で取り込む
  • アビームコンサルティング 経費の実態を分析し目的別に最適化する改善策を提示するなどのコンサルテーションを実施
  • 富士ソフト 全銀フォーマットによるファームバンキングとの連携をはじめ、各種バックエンドシステムとの接続
パートナーとの協業体制をさらに強化していくとする日本法人の三村真宗社長

 そのほか、モバイルWi-Fiルーターのレンタル業者、VAT(欧州の一部や韓国で取り入れられている付加価値税)還付代行サービス業者など、多彩なパートナーが顔を揃える。イベント会場では、UberJapan代表の高橋正巳氏も登壇し、Uberのアプリとコンカーが連携する様子が実際の画面でデモンストレーションされた。「国内パートナーとグローバルパートナー、『For Me(精算業務をする個人視点での効率化)』と『For My Business(経費を管理するビジネス視点での最適化)』、4象限それぞれで協業先を拡充していきます」(コンカー日本法人の三村真宗社長)。

「Concur App Center」を通じて協業するパートナーは今後も拡充を図っていく
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 コンカーは昨年、約83億ドルの買収で独SAPの傘下となった。プレジデントのドニオ氏は「イノベーションとインテグレーションに向けた潤沢な資金力を得ることになりましたし、(ERPの)SAPと深く統合できることになりました。顧客企業にとっての価値を増強できることは間違いなく、これからもサービスの進化に全力を尽くしていきます」と会場に訴求した。

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