2020年の東京オリンピック/パラリンピックを控え、インバウンド消費(訪日外国人による国内消費)が市場の牽引役としての期待が高まっている。そのインバウンド消費拡大における課題の1つが決済手段だ。キャッシュレスに向けたクレジットカードなどの利用拡大が望まれるが、同時にセキュリティ面でのリスクも広がる。クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の現状について、カード会社が作る業界団体「PCI SSC(Payment Card Industry Security Standards Council)」の国際担当ディレクターであるJeremy King(ジェレミー・キング)氏に聞いた。(聞き手は志度 昌宏=IT Leaders編集部)
日本におけるカードの決済額は、過去10年間で倍増している。しかし、昨今のインバウンド消費(訪日外国人による国内消費)の拡大や、2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けては、キャッシュレス社会の促進が日本政府の成長戦略においても重要な課題になっている。
政府が2014年12月26日に発表した「キャッシュレス化に向けた方策」によれば、海外で発行されたクレジットカードで現金を引き出せるATM(Auto Teller Machine:現金自動預払機)の増設や、地方や観光地でのクレジットカードなどの決済端末の設置などが必要とする。
当然ながら、一般消費者がクレジットカードを安全に使える環境の整備やセキュリティ対策も求めている。クレジットカード不正使用による国内被害額は2014年に105億円に達し、過去5年間で最高額を記録した。特に、ネットショッピングやATMにおける不正使用が増加している。
2015年3月に「クレジット取引セキュリティ対策協議会」を発足させた経済産業省によれば、クレジットカード取引における現在の課題は大きく3つある。(1)加盟店の不正による消費者被害の増加、(2)加盟店のWebサイトを経由した情報漏えいの深刻化、(3)電子商取引における決済認証手段が簡易なことによるデータ流出だ。
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