全世界のCIOは、デジタル化の影響についてどう感じているのか。デジタル戦略を推進する自らの役割をどう捉えているのか。それを把握できる調査結果を、コンサルティング会社のKPMGが公開した。
「Digital Distruption(デジタルによる創造的破壊)」という言葉や、それがもたらす影響について読者はどう捉えているだろうか?コンサルティング会社のKPMGコンサルティングが発表した調査によると、デジタル化の進展が何らかのDistruption招くと考えているCIOが66%に上る。同時に、何らかのDistruptionに現在直面している、または2年以内に直面するとの回答は62%と高い比率だった(図1)。
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調査は、KPMGのグローバル法人であるKPMGインターナショナル(本部オランダ)が調査会社の英Harvey Nashと共同で実施したもの。対象は30カ国、3691人のCIOである。
同調査は一方で、何らかの備え、つまり全社的なデジタル戦略がある企業は27%でしかないという結果も示している。「危機は感じており、現実に直面しているシーンも増えているが、有効な策は立案できていない」といったところだ。
ではその理由は何か。図2が、その理由を聞いた結果だ。ビジョンの欠如(34%)、予算不足(30%)、影響に対する理解の不足(29%)、必要人材の不足(29%)といった項目が上位に来る。どちらかといえば企業風土などの要因が強い。ITが理由と見られる「ITシステムの限界」は7番目と一見低いこともそれを示している。ただし、回答率は23%もあるので、ITが対策がないことと無関係とは言えない。
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一方、「デジタル戦略の構築と実施は、誰が主導しているか」を聞いた結果が図3である。最も多かったのはCMO(34%)。調査の対象者であるCIO自身は14%といささか寂しい結果だった。KPMGの調査報告書は「CIOはレガシーシステムのインフラ、データモデル、アプリケーションに、新しいビジネスソリューションを統合した場合の影響を把握している。デジタル化の波は多くのCIOにとって、自らの役割を再定義し、テクノロジーが組織全体に価値をもたらす方法を変革するチャンスである」と指摘している。
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この指摘通り、COOがデジタル戦略を主導するケースはともかくとして、CMOが主導するよりCIOが主導するべきなのは当然。CIOは全社のITを、その技術動向やベンダーの得手不得手なども含めて統括する立場にあり、ITの進化形こそがデジタル化でもあるからだ。
日本のCIOにすれば、世界3691人のCIOに聞いた調査結果が、このレベルであることは、チャンスなのかも知れない。なお、調査サマリーの日本語版、および調査結果全文の英語版もぜひ参照していただきたい。