一般財団法人日本海事協会は、船舶の安全運行や省エネを推進するためのビッグデータ基盤を構築した。事業者に対し、子会社が運用するデータセンターを通じて各種データを提供する。プロジェクトを支援した富士通が2016年5月6日に発表した。
安全性の確保やエネルギー効率の追求、ひいては産業そのもの発展を目指してビッグデータの活用に積極的な姿勢を見せている業界の1つが海運業界だ。エンジンをはじめとする機器に内蔵するセンサーから取得するデータや、航海に関わる種々のデータ、さらには気象データなど、多種多様で膨大なデータを有効活用することが鍵を握る。
もっとも、船舶事業者や海事事業者がそれぞれ独自に取り組むとなると、コストや手間がかかることがハードルとなる。そこで、一般財団法人日本海事協会は業界共通のプラットフォームとして「船舶ビッグデータプラットフォーム」を構築、2016年4月から稼働を開始した。同協会の子会社として2015年12月に設立したシップデータセンターが、事業者向けのサービスとして運用する。
個別の船舶から送られるVDR(船位/船速/船首の方位などの航海情報を蓄積する航海データ記録装置)などの航海系データ、エンジンや計器などから取得するマシナリーデータ、気象データなどを収集し蓄積。必要に応じてCSVやJSONなど特定のフォーマットを生成し、Web API経由で事業者に提供する仕組みだ。当然のことながら、データのウイルスチェックやユーザー認証などでセキュリティを担保している。
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プロジェクトは富士通が支援した。今後、AI(人工知能)を応用したデータ解析などの機能を拡充していく予定。船舶データに関わる新規国際標準規格にもいちはやく準拠していくという。
【プロジェクトの概要】 | |
ユーザー名 | 一般財団法人日本海事協会 |
事業内容 | 海運 |
導入システム | 航海に関わるビッグデータを事業者に提供するためのプラットフォーム |
導入目的 | 航海の安全性確保や省エネルギー運行の推進 |
主な利用製品 | プロジェクトは富士通が支援。具体的製品名は公開されていない |