[Sponsored]

IoTの今を知り、アクションを起こすための情報を凝縮した2日間

国内外トップスピーカーが集結する無料イベント「IoT CONNECT 2016」開催

2016年10月12日(水)

IoTで今知っておくべき技術動向は? 実務に適用する課題と解決策は? 大きなヒントが得られる事例は?──IoTに関わる最新情報を提供する無料イベント「IoT CONNECT 2016」が来る11月10日と11日の2日間にわたって開催される(主催:東陽テクニカ 協賛:Industrial Internet Consortium)。IoTの技術を「計測」に活かすためのエッセンスが凝縮されているのが特徴だ。その見所を解説すると共に、講演者の1人である河合季信氏(筑波大学准教授)との事前対談の模様を紹介する。

IoT CONNECT 2016セミナー直前ピックアップ対談 
「IoTでスポーツを全ての人へ」のプロローグ

 IoT CONNECT 2016で「IoTでスポーツを全ての人へ」と題した講演を予定している、河合季信氏(筑波大学准教授)。セミナー当日に先駆けて、アスリートとスポーツを楽しむすべての人とIoTとの関わりについて、東陽テクニカの二上貴夫参事(経営企画部事業戦略課研究担当)が話を伺った。

IoTならリアルタイムにスポーツデータ収集が可能

二上 河合先生はかつてスピードスケートの世界選手権で頂点に立たれ、オリンピックでもメダルを獲得するなどの経験をお持ちの超一流のアスリートです。と同時に科学者でもあり、スポーツ科学を研究されています。今日は、スポーツとデータ分析などの関係について色々お話を伺いたいのですが、その前にまずは世界的な大会で勝利した時には、どんな感想を抱くものなのかお聞かせいただけますか。

河合 初めて世界選手権に優勝した時は、びっくりしたというのが正直なところです。2回目の時は調子がよかったので、予定通りという感じでしたね。オリンピックは個人戦ではスタート直後の用具のトラブルで満足なレースができなかったのですが、気分を切り替えて挑んだリレーでは、メダルが取れ、ひときわ嬉しく思いました。

二上 輝かしい成績を収めていた現役時代から科学をトレーニングに取り入れていたのでしょうか?

河合 大学で体力トレーニングの研究室に在籍していたこともあり、当時からトレーニング中に自分で血液を採取したり、心拍数を測ったりしていました。トレーニングと科学の距離は短かったですね。

二上 そうしたキャリアを歩まれていた先生は特別な存在で、スポーツと科学の両面からアプローチしているアスリートは少なかったのではないですか?

河合 そんなことはありませんよ。トップの選手はパフォーマンスを上げるために、仮説を立て、データを取り、結果を評価しながらパフォーマンスアップに向けて練習を積み重ねるというサイクルを繰り返すのが一般的な姿です。

二上 各種のセンサーをはじめIoT関連の技術が身近になった現在とは違い、かつてはデータの取得から実際に分析するまでには時間がかかったのではないでしょうか。

河合 トレーニングの現場ですぐに結果が見えるものと、そうではないものがありました。例えば、心拍数はすぐに結果を見られましたし、血液中の乳酸データも1分で結果がわかる機械がありました。当時、トレーニングに利用できていたのはこうした素早く結果の出るものです。一方、動作分析においては、かつては撮影して1コマ1コマをデジタイズしていたので時間がかかりました。こうしたものはトレーニングへの利用には向かず、研究で利用していた手法です。

 しかし、テクノロジーの進歩によって状況は大きく変わろうとしています。例えば、モーションキャプチャ技術。これは野球の投球やゴルフのスイングなどプレーヤーがその場にとどまっているケースでは分析に十分に使えます。1秒間に10~15mも移動するスピードスケートのような場合はモーションキャプチャは適さないのですが、IoTを応用すれば、リンク全体を動き回る選手の挙動をリアルタイムに把握することも可能となるでしょう。データ分析をトレーニングに利用できる領域は一気に広がると思います。

IoTでケガや故障の予防も

二上 なるほど。IoTならデータ分析でこれまでできなかったアスリート支援が広がりそうですね。先ほど用具のトラブルというお話がありましたが、アスリートにとっては手足などの身体のトラブルにも気をつけなければなりませんね。故障や疲労の予防にもIoTは役に立つでしょうか?

河合 例えば、障害予防への利用ですね。世界で戦うには故障と背中合わせぎりぎりのトレーニングをしていかなければなりません。この限界値をテクノロジーで探っていくことが重要になります。これ以上なら怪我をするかもしれないが、ここまでなら大丈夫というポイントを、継続的にデータを取ってその変化を見て予測していくのです。

二上 継続的なデータ取得、変化の観察、予測という3ステップが大事なのですね?

河合 そうです。これまでは主観的な判断がメインでしたが、加速度センサーなどの累積値を見ることでダメージの蓄積などを判断できるようになります。

二上 スポーツというフィジカルな世界と、データ計測というサイバーな世界が密接につながることの価値が腑に落ちました。2020年には東京オリンピックも控えており、「測る技術」はますます目が離せなくなりますね。セミナー当日もこうしたお話をうかがえますか?

河合 はい。詳しくお話ししたいと考えています。

二上 9月27日付の読売新聞に日米がIoTの国際規格共同制定で同意したという記事が出ていました。IoTの発展のためにもこうした協調は大切だと思います。今回のセミナーは東陽テクニカが主催、米国が中心となっているIIC(Industrial Internet Consortium)が協賛で開催し、これも協調の1つの形です。オリンピックにしても、アスリートの競争ではありますが、各国の協調がなくては開催できません。こうしたIoTの国際規格が進んでいくことは、スポーツに生かしていくうえでもメリットはありますか?

河合 メーカーによって規格が異なることの弊害は多々感じていました。別のメーカーから新しい製品が出てきて、その機能を十分に活かすには、他の機械も含めて一揃い買い替えなくてはならないなんてことがありましたから。規格が決まって、相互に連携・接続できるようになるのは、現場にとって歓迎すべきことだと思います。

二上 データの面でもそうですよね。異なるメーカーの製品で蓄積したカメラのデータを比較したいのだけど、フォーマットが違っていたり。

河合 標準という以上、グローバルに通用するものが必要になります。例えば、柔道ではビデオ撮影のフォーマットを標準化し、技名も統一するなどの取り組みを行っています。バレーボールでも、他の国とバーターで対戦相手の試合のデータ収集を行い、共通プラットフォームでやりとりして合理化しています。もちろん、その先の分析は個々の強みになりますのでそこは分けていく必要がありますが。

二上 自動車産業なども共通化領域と競争領域の区別は明確です。特に自動運転の分野などではそうですね。スポーツもそうした領域に近い部分があるのですね。

スポーツ観戦の楽しみもIoTが変える

二上 アスリート支援の領域で磨かれた技術が、さらに全ての人へ広がっていくこともありそうですね。

河合 2つの方向性が考えられます。1つは限界に近いところでトレーニングするアスリートのデータを、一般の方のスポーツでの怪我防止などに役立てられると期待できること。データに基づきながら安全快適にスポーツを楽しめるようになるでしょう。

 もう1つはプロスポーツの観戦などでトラッキング(追跡)データがリアルタイムで見られるようになり、楽しみ方が増えることです。すでに取り組みは始まっており、プレイヤー一人ひとりの挙動や、チームの戦術の変化などが分かるようになってきたため、ゲームをより多面的に楽しめるようになりました。今後、AIが広く使われるようになると、初めて見るスポーツでも分かりやすく解説してくれるコンパニオンなどが登場するかもしれません。東京オリンピック・パラリンピックでは、詳しく知らない競技でもそうした解説で楽しめそうですね。

二上 まさに「IoTでスポーツを全ての人へ」ですね。最後の質問になりますが、IoTの技術者の方へのメッセージをお願いします。

河合 スポーツは常にチャレンジングです。技術の開発は汎用性があるため、一緒に協力して技術を開発してくれる方が増えていくことをスポーツの発展のためにも願っています。


河合季信(かわい としのぶ)氏

筑波大学准教授 JSCハイパフォーマンスセンター・マネジャー(サイエンス・テクノロジーチーム)

1993年筑波大学大学院(体育研究科)修了。専門はコーチング学。ショートトラックスピードスケート選手として、1985年、1987年に世界チャンピオンとなった後、1992年冬季オリンピックで銅メダルを獲得。その後、コーチに転じてナショナルコーチなどを歴任。合わせて、1998年長野オリンピックに向けてスラップスケートの導入にスポーツ科学の立場から貢献した。その後、オリンピックに向けたスポーツ情報・医・科学からの総合サポートに関わる。現在は、筑波大学で教育・研究に携わるとともに、東京・西が丘のJSCハイパフォーマンスセンター・マネジャーとして、各競技団体のテクノロジー導入のサポートを行っている。

関連記事

トピックス

[Sponsored]

IoTの今を知り、アクションを起こすための情報を凝縮した2日間 [ 2/2 ] IoTで今知っておくべき技術動向は? 実務に適用する課題と解決策は? 大きなヒントが得られる事例は?──IoTに関わる最新情報を提供する無料イベント「IoT CONNECT 2016」が来る11月10日と11日の2日間にわたって開催される(主催:東陽テクニカ 協賛:Industrial Internet Consortium)。IoTの技術を「計測」に活かすためのエッセンスが凝縮されているのが特徴だ。その見所を解説すると共に、講演者の1人である河合季信氏(筑波大学准教授)との事前対談の模様を紹介する。

PAGE TOP