FinTechにIoT(Internet of Things)、AI(人工知能)などが様々な分野に影響を及ぼそうとしている。これらデジタルビジネスがもたらすものは、単なるIT技術の発展では語れないDisruption(破壊的)な変革だ。様々な業界がその脅威にさらされている今、企業が生き残っていくためには、デジタルビジネスの先を読み先手を打っていく必要がある。シリコンバレーで企業投資家向けの戦略的コンサルティングサービスを提供するNet Service Ventureas(NSV)の校條(めんじょう)浩氏は、都内で開催されたDigital Innovation Labで"「ベンダー」から「ベンチャー」へ"と題した講演を行い、ベンチャー企業から見えてくる、予測できる「オープンイノベーション」を語った。
校條氏は「デジタル革命を語った本や専門家の言葉で、将来を予測したものはない」と指摘する。「過去のことはだれでも言える。すでに起こってしまった"破壊的革命"を語っても意味がない」というのが校條氏の主張だ。大事なのは「この先、何が破壊されていくのか」という議論をし、それを行動に移すことが重要なのだという。
まずは、自らの体験から将来を予測することの重要性を説明した。校條氏はコニカ(現在のコニカミノルタ)の出身。かつて富士フイルムの「フジカラー」と市場を二分していた国産写真フィルム「サクラカラー」の銀塩写真の開発に携わっていた。

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校條氏に転機をもたらしたのが、ソニーが開発した電子スチールカメラ「マビカ」の登場だ。1981年に試作機が開発され、ロサンゼルス・オリンピックの取材に用いられた。現在のデジタルカメラの元祖といえるマビカの登場を知った校條氏は「30年後には、デジタル写真の画質は銀塩写真に追い付く」と予測している(図1)。
なにも山勘で予測したわけではなく、100年以上の歴史がある化学技術とデジタル技術を比較し、その成長スピードの違いから「30年後に画質が交差する」という答えが得られたのだという。実際には、校條氏の予想よりも早い2006年に、コニカはカメラ事業から完全撤退している。
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