[市場動向]
ITインフラのすべてを1社で提供、Dellに注目すべきこれだけの理由
2016年11月11日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)
DellといえばPCを主体に、中堅・中小企業向けのx86サーバーやストレージも擁するITベンダーである。特に日本で根強いこんなイメージは完全に過去のものになった。欧米では何年も前からHPEやIBMと並ぶITベンダーとされており、EMCの買収により2016年9月に生まれたDell Technologiesは、世界最大のITインフラ提供者になるからだ。であるならばその実像を知っておく必要があるだろう。
2015年、IT産業に最も衝撃を与えた出来事の1つが、同年10月に発表があった米DellによるEMCの買収劇だろう。
IT産業の歴史上最大とされる670億ドル(7兆円)の買収金額はもちろん、Dellの意図が見えにくい。企業価値の点で小が大を飲み込むうえ、事業の重複もある。特に前年には米IBMがPCサーバー事業を売却し、米Hewlett-Packardが企業分割を余儀なくされていた時期である。“クラウドファースト”への潮流が鮮明になる中で、大手ITが買収する企業はクラウド関連が常識だった。一体、Dellは何を考え、どんな未来像を描いているのか──。
買収発表から1年。2016年9月7日の統合完了とDell Technologiesの設立を経て、その姿が見えてきた。マイケル・デル会長は「我々は今、新たな産業革命の初期段階にいる。デジタル変革はリアルであり、現実の世界に大きな影響を与える。企業はITを変革し、デジタルに適応し、膨大な情報からインサイトを引き出さなければならない。そのためには新たなテクノロジ企業が必要であり、(EMCを買収して)Dell Technologiesを創った」と電話説明会で強調した。「デジタル時代の企業をサポートし、リードするのがDell Technologies」というわけだ。
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