2016年11月29日、インプレスは「IT Leaders Forum 競争戦略としてのワークスタイル革新」セミナーを都内で開催した。当日は、注目すべきユーザー事例のほか、Sansan、ワークスモバイルジャパン、Box Japanの最新ソリューションを詳説するセッションが設けられた。基調講演の壇上に立ったのは、デンソー 技術開発センターDP-EDA改革室 室長の鈴木万治氏。同氏は、『デンソーが挑む企業SNSによる「真の総智総力」の実現~やってみてわかったことと、これからの展望~』と題して、企業コラボレーション実現に必要な“デンソー流”社内SNS活用のポイントについて語った。

ワークスタイル変革にAI活用の可能性

 さらに鈴木氏は、過去、製品のライフサイクル短縮を実現するためにプロセス改善に取り組んだ際、メーカーやサプライヤーが集まって課題を解決した事例を示し、「競争(Compete)」だけでなく「共創(CoCreate)」のプラットフォームとしてのSNSの可能性も示唆した。

 また、新しいテクノロジーという点では、AIがワークスタイル変革に及ぼす可能性も視野に入ってくる。たとえば、IBMのコグニティブ・テクノロジーは、自然言語処理をベースに、根拠をもとに仮説を生成し、経験から自律的に学習していく。SNSに投稿した内容をAIが分析し、自然言語処理で社員の能力や嗜好を明らかにして、組織にとって埋もれた人材の発掘に繋がる可能性もあると鈴木氏は述べる。ナレッジ共有の観点では、専門家になればなるほど、思考の枠が狭まってくる。そうしたことを補う役割がAIに期待できる可能性がある。

 最後に、鈴木氏はSNS活用のポイントとして以下の3点を示し、「人との距離感を縮め、関係性を強化して仕事を行い、新しい価値を生み出していこう」と会場に呼びかけた。

  1. ドイツ流にやってもだめ:和のSNS活用に留意することで成果に結びつけられる
  2. 功を焦らない:苗床から育てていく忍耐力が求められる
  3. 縦串と横串:組織の縦串とSNSの横串により競争力を強化できる