第一生命保険と日立製作所は2017年8月31日、医療ビッグデータを生命保険事業に活用する共同研究により、「生活習慣病に起因する入院の可能性とその日数」を予測する定量評価モデルを開発したと発表した。第一生命では、同モデルをもとに加入範囲を拡大する見直しを2017年7月に実施。この結果、見直し後の約1カ月間で300人を超える顧客が新たに生命保険に加入した。
従来は、生活習慣病などの健康状態を理由に生命保険に加入することができないケースや、生命保険には加入できるが8大生活習慣病の特約を付けられないケースがあった。今回、開発した定量評価モデルを利用することによって、これまで引き受けることができなかった顧客の一部を引き受けられるようにした。
今回2社は、「糖尿病や血管系疾患など8大生活習慣病に起因する入院の可能性とその日数」を予測する定量評価モデルを開発した。本モデルを用いることで、複雑に絡む複数の「健康を阻害する要因」を加味して、将来入院する可能性およびその日数を予測することが可能になった。
このうち、高血圧治療中の人に本モデルを用いると、その他に一定程度「健康を阻害する要因」がある場合でも、健康な人の入院可能性・日数との差が小さい場合があることなどが確認できた。このため、第一生命は該当する顧客の一部を引き受けできるように基準を見直した。
今回の引き受け基準の見直しは、2016年9月から始めた共同研究において、第一生命が長年蓄積してきた約1000万人の医療ビッグデータをもとに、日立の医療費予測技術で培った分析ノウハウを活用して解析を行った成果の1つである。
2017年9月からは、 新たな共同研究として、「一人ひとりの健診結果の推移」や「生活習慣の変化」に着目した基礎研究に着手する。通常、生命保険契約では、加入時の健康状態をもとに引き受けの可否を判断する。しかし、加入時に同じ健康状態の人でも、健康状態の推移や生活習慣の変化によっては、将来における入院・死亡の可能性は異なる。そこで同研究では、健康状態の推移や生活習慣の変化に着目する。