ヤマハは2017年9月13日、拠点間接続に向いたVPNルーター機器の新モデル「RTX830」を発表した。2017年10月に提供開始する。既存モデル「RTX810」の後継モデルに当たる。クラウドから個々のRTX830をリモートで管理する機能などを追加した。価格(税別)は7万5000円で、販売目標は年間6万台。
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RTX830は、拠点間接続などに向いたVPNルーター機器のエントリーモデルである。WANインタフェースとLANインタフェースを備え、LAN側は4ポートのレイヤー2スイッチを備え、ポートベースVLANが使える。ポートはWAN/LANともに1000BASE-T。きょう体は幅220×厚さ43.5×奥行き160.5mmと小型である。コンソール接続はRJ45またはmini USB。
既存モデルのRTX810と比べて、きょう体のサイズや設定ファイルの互換性を維持しつつ、性能と機能強化を図った。性能面では、スループットを1Gbpsから2Gbpsへと向上、VPN対地数を6から20へと向上、VPNスループットを200Mbpsから1Gbpsへと向上、NATセッション数を4096から6万5534へと向上させた。最大消費電力は11Wで、RTX810と変わらない。
機能面ではまず、ヤマハ独自のクラウド型ネットワーク管理サービス「YNO(Yamaha Network Organizer)」と連携できるようにした。これにより、個々のルーターに個別にログインすることなく、YNOのコンソール画面を介してすべてのルーターの設定を変更できるようになった。今後は、ゼロタッチコンフィグレーション機能も追加する。あらかじめRTX830の設定をYNOに保存しておくことで、RTX830を初めて拠点に配置する際に、ネットワークにつなげるだけで自動的に設定が反映されるようにできる。
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Amazon VPCのようなクラウドサービスへのVPN接続を簡素化する機能も追加した。クラウドベンダーから渡されているIDとシークレットキーを設定するだけで、IPsecVPNやBGP経路設定などのネットワーク設定が自動的に生成され、ルーターに反映される機能である。クラウドサービス接続の設定にかかる手間を軽減できる。現時点ではAmazon VPCに限って設定を簡素化できるが、このほかのクラウドサービスも順次拡充する。
アクセス先のドメイン名(FQDN)によって経路を切り替える機能も追加した。例えば、通常のインターネットアクセスは本社のデータセンターへのVPN接続を介して行い、特定のSaaSアプリケーションについては拠点から直接インターネットに出ていくようにするといった運用が可能になる。
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新版ではまた、複数拠点へのVPN接続を1つのVPN設定だけで実現するマルチポイントトンネル機能を追加した。RTX830は、マルチポイントトンネルの拠点側として利用できる。これにより、拠点の増設や移設など、VPN環境に変化があった場合の設定変更作業の手間を軽減できる。
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管理用パソコンをRTX830にケーブルで直結してメンテナンスする場合の利便性も高めた。シリアルポートとして、これまでのRJ45ポートに、新たにmini USBポートを追加した。