[技術解説]

AIロボットの新しい提案―通信機器ベンチャー企業ハタプロの挑戦

2017年11月6日(月)杉田 悟(IT Leaders編集部)

IoTにAI、ビッグデータなどデジタルビジネスが新たなITの潮流として世間を賑わせているが、そこにはベンチャー企業の存在が欠かせない。デジタルビジネスは多くの場合、これまで通り大手ITベンダーが一気通貫に提供できるものではなく、ところどころでベンチャー企業の技術、サービスが存在感を見せている。ここに紹介するハタプロも、いくつもの大手ITベンダーと組んで新たなデジタルビジネス展開している、注目のベンチャー企業だ。

 人型ロボットの首や手足は構造が複雑で繊細なため、来店者が勝手に触れると破損してしまうリスクがある。ズックは、折れたり曲がったりする部分がないシンプルなフォルムのため、少々ぞんざいに扱っても壊れにくく操作も簡単なので、こどもたちに手に取ってもらえる。

 タブレット端末とセットで使うことで、デジタルサイネージの役目も果たすことが可能だ。また、ハタプロはハードウェアの製造も手掛けているので、例えば自社のキャラクターに似せるなど、ズックのフォルムをカスタマイズできる。ご当地のロボットとしてゆるキャラ風にカスタマイズして展開するなど、使い方は様々だ。

ハード、ソフト、ネットワークを1社で開発

 ハタプロが注目されているのは、AIやIoTに注目が集まる中、ベンチャーにもかかわらずハード、ソフト、ネットワーク技術を複合した製品を1社で開発できるところにある。特にハードウェア開発を手掛けるベンチャーは貴重だ。大手ベンダーにも当然、これらの技術を合わせ持った企業は複数存在するが、部門間の垣根を超える必要があり、時間もかかるので手を出しずらいという側面がある。

写真2:手のひらサイズのズックを手にするハタプロの伊澤社長

 伊澤氏は「ハタプロはファブレスメーカー」だという。つまり、工場を持たないメーカーということで、国内外に委託先製造業者を抱えている。当初は、台湾のアセットを活かしたハードウェアの開発が多かったが、実績を上げるとともに国内の製造業とコラボレーションする機会が増えてきた。都内でも町工場が多いことで知られる大田区と提携しハードウェアを開発している。

 2016年には、NTTの研究開発部門とジョイントベンチャーを設立している。IoT向けの通信規格として注目されているLPWA(Low Power Wide Area)を絡めた機器の開発を行っている。NTTの開発力、資本力とハタプロの開発力、フットワークの良さが生かされており、伊澤氏曰く「ベンチャーと大手のいいとこどりした開発会社」となっている。

 何といってもIoT時代においては、ハード、ソフト、通信、そして新しい技術の融合が必須で、製品のライフサイクルがきわめて早い。新規事業の立ち上げには、小ロットでスピード、コスト、品質を兼ね備えた開発体制が求められており、ハタプロがそれに合致したといえる。

 大手との連携が多く、これまでは大手企業向けに開発製品をOEM提供する形を取ってきた。しかし「第二創業期」として、「ハタプロ名義で世に出る製品を増やしていきたい」という。現在は名前を聞いたことのない製品でも、良いものであれば買われる時代になった。そのフラッグシップとなるのがズックだ。

 ズックの価格は未定だが、法人向けで月額数万円程度のリース提供を予定している。家庭向けには更に安い価格で提供できるよう検討するとしている。

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