[技術解説]

AIロボットの新しい提案―通信機器ベンチャー企業ハタプロの挑戦

2017年11月6日(月)杉田 悟(IT Leaders編集部)

IoTにAI、ビッグデータなどデジタルビジネスが新たなITの潮流として世間を賑わせているが、そこにはベンチャー企業の存在が欠かせない。デジタルビジネスは多くの場合、これまで通り大手ITベンダーが一気通貫に提供できるものではなく、ところどころでベンチャー企業の技術、サービスが存在感を見せている。ここに紹介するハタプロも、いくつもの大手ITベンダーと組んで新たなデジタルビジネス展開している、注目のベンチャー企業だ。

 ハタプロは、AIとIoT関連技術に強みを持つ通信機器メーカーだ。2010年設立のベンチャー企業で、近年注目を集めているのが、グループ会社のハタプロ・ロボティクスを通じて提供する小型AIロボット「ZUKKU(ズック)」だ。

ずんぐりむっくり体系のユニークな小型AIロボット

写真1:ズックの独特のフォルム

 まずは、そのフォルムを見てほしい。一足早く普及した産業用ロボットはともかくとして、近年多く登場している国産のサービスロボットといえば、ソフトバンクのPepperを始めとして人間を模した「人型」のものが多い。ズックは、フクロウをデフォルメしたずんぐりむっくり体系のロボット。一般的にフクロウは耳がなく、「羽角」といわれる耳があるのはミミズクなので、ミミズク型ロボットともいえる。名前のズックは、この「ミミズク」から来ているそうだ。

 サイズは小さく、高さ約10cm、太さが7.5×6cm。自動車のドリンクホルダーにすっぽり入る大きさといえばわかってもらえるだろうか。この小さな身体にカメラ、マイク、スピーカー、画像認識センサー、加速度センサー、GPS、SIMカード、モバイルバッテリーを搭載している。

 画像認識技術は、センサーメーカーとハタプロが共同開発したもので、画像認識の処理はズックの中で行う。通常の画像認識ソリューションは、クラウド側で処理を行う。クラウドに膨大な画像データを送る必要があるため、リッチなネットワークと大掛かりな処理システムが必要となる。ズックでは、画像の中に何が写っていたのかといったメタデータのみをテキスト化してクラウドに送るので、通信費用もサーバー費用も安価ですむ。

 クラウドとはSIMを通して常時接続、クラウド側では、IBMのBluemixやWatonをベースとしたマーケティング管理システム「ZUKKU MARKEYTING CLOYUD」で可視化、来店者の動向を分析して、戦略を立てられる。

画面1:ZUKKU MARKETING CLOUDの管理画面
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 モバイルバッテリーは、アンドロイド搭載のスマートフォンと同じものを使っているので、アンドロイドの充電器があれば事足りる。連続稼働時間も、本体が小型で、手足などの余計な稼働がないため、営業時間中は補充無しで使い続けることが可能だという。ちなみに、人型ロボットでもっとも電力消費が激しいのが、二足歩行のための動力だという。Pepparは、省電力のため二足歩行を回避したという話もある。

 ハタプロの伊澤諒太社長は、「安価で場所を取らないので、例えばテーブルごとに1個置くなど、1店舗で複数のズックを導入することも可能」だという。ロボットを店頭に置けば、「客寄せパンダ」の役目も果たす。ズックは手のひらサイズで、見た目もかわいらしいので「こどもたちは100%興味を示す」という。盗難防止のチェーンを付けておけば1日テーブルに置きっぱなしで、途中メンテナンスは必要ない。

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