「日経電子版」を皮切りにデジタルシフトを加速させている日本経済新聞社。会員向けサービスのさらなる強化を図るため、パフォーマンス指標を全社横断的に可視化するための基盤を整備した。製品を提供するドーモが2017年12月14日に発表した。
混雑をよそに朝刊を器用に折りたたんで主要なニュースに目を通すビジネスパーソンが目立っていた、かつての通勤電車。車両内をざっと見渡せば、どの新聞のどの記事が読まれているかが一目瞭然だった時代が懐かしい。
スマートフォンやタブレットが普及し、新聞も電子版へと大きくシフトした今は、車内風景が一変。画面を凝視している様子からは、それぞれがどんなコンテンツに触れているかは分からない。しかし、その水面下では、全国紙をはじめとするメディア各社がしのぎを削っている。
ビジネスパーソンにとって世の中の最新の動きを頭に入れておくことは欠かせない。新聞が今なお総合的なニュースソースの役割を果たしているとはいえ、ネット上に様々な情報が溢れているこのご時世、自分の端末に専用アプリを導入し、アディショナル料金を払ってまで特定の新聞を頼りにしようというのには、相応の理由が必要となる。これさえ使えば求める情報に素早くたどり付けるといったことを含む、いわゆる“顧客体験”が優れたものであることが重要な条件だ。
日本経済新聞社は、2010年に日経電子版をリリースしたのを手始めにデジタル時代に最適化した専門メディアの追求に余念がない。会員向けサービスの向上に向け、単なるコンテンツの電子化にとどまらず、モバイルアプリ開発の内製化やAPI連携を軸とするシステムの強化など、エンドツーエンドでの事業の変革を加速させている。
デジタルファーストで試行錯誤を積み重ねる上で礎となるのがデータだ。閲覧履歴、検索、広告、ソーシャルメディアなど各種ソースのデータをクラウド基盤に一元的に集約し、読者のアクションを定点観測できる仕組みを整えていた。もっとも、これまでは月次でのとりまとめが主流で、PDCAサイクルを加速させるためには、さらに関係者ごとのニーズに照らしてキメ細かく、かつリアルタイムに参照できることを必要としていた。
そこで新たに、社員各自が全社横断的に必要なデータにいつでもアクセスし、KPIをはじめとする指標を素早く把握するための基盤を整備。デジタルシフトを担う関係者同士が、現状のパフォーマンスに関わるデータを共有しながら、次なる一手につながるインサイトを導き出しやすくするのが狙いである。基盤にはドーモが提供するクラウド型のデータ統合プラットフォーム「Domo」を採用した。