本社をシンガポールに置くBCL Foundationは2018年8月23日、シェアリングビジネスにブロックチェーンやIoTを活用する企業向けパブリックチェーンプロジェクト「BCL チェーン」の開始を発表した。BCLチェーンの最初のユースケースとして、Foundationの一員であるブロックチェーンロックが、スマートロックにブロックチェーンを適用するサービスを開始する。
BCL Foundationは、ブロックチェーンとトークンエコノミーを融合させ、実ビジネスへの適用を目指す自律運営型組織で、ブロックチェーンロックCEOの岡本健氏(写真1)が代表を務める。岡本氏は元楽天ブロックチェーンラボ代表。岡本氏によると、ブロックチェーン技術の開発を行うのがシンガポールに本社を置くBCL Foundationで、そのユースケースを実サービスベースで実施していくのがブロックチェーンロックの役割となる。
今回発表した「BCL チェーン」は、ブロックチェーンをIoTなどのデジタルビジネスと組み合わせ、さらに仮想通貨も含むブロックチェーン上の代替貨幣であるトークンで取引を行うトークンエコノミーの仕組みを組み込んだ商用ブロックチェーンのプロジェクト。TISおよび野村総合研究所(NRI)がこのプロジェクトに出資している。
BCL Foundationでは、BCLプロジェクトの適用先として、UberやAirbnbの躍進で一躍脚光を浴びることになったシェアリングビジネスを検討しており、ユースケースの第一弾として、マンションなどの鍵を電子化するスマートロックとの組み合わせをブロックチェーンロックがサービス化する。
スマートロックは、アプリをダウンロードしたスマートフォンを鍵の代わりに使えるなど、鍵をソフトウェア化し、柔軟に配布、停止できるようにしたIoTサービスで、すでに複数の企業からサービスが提供されている。BCL Foundationでは、これを民泊などのシェアリングに適用、トークンエコノミーを組み込んだBCL チェーンとの連携によりキャッシュレスでサービスを完結できるようにする。
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一般的に、ブロックチェーン技術は処理スピードに難があるとされており、リアルタイム性が求められるスマートロックへの適用にはあまり向いていないと考えられるが、その処理スピードを向上させること、高い信頼性を維持することなどが、BCL Foundationにおける重要な研究課題となっているようだ。
ブロックチェーンロックではさらに、「BCL ブロックチェーンコンピューター」(写真2)と呼ばれるハードウェアを開発、今後カーシェアリングや自転車シェアリング、宅配ボックス、家電製品など様々なスマート機器、シェリングサービスのハブとして普及させていく考えだ。