[イベントレポート]
「“製品”ではなく“解”に投資を」―新生テラデータがアナリティクスポートフォリオを刷新
2018年10月16日(火)河原 潤(IT Leaders編集部)
創業39年目のテラデータが新章へ──新フラッグシップ製品と自社のリブランディングを発表し、データウェアハウスベンダーからアナリティクスプラットフォームベンダーへのシフト完了を宣言した。2018年10月14日~19日の会期で開催中の「Teradata Analytics Universe 2018」(会場:米ネバダ州ラスベガス)のゼネラルセッションから、同社幹部が語る新戦略と、製品版としてベールを脱いだ「Teradata Vantage」の概要を紹介する。(IT Leaders 河原 潤=ラスベガス)
「データの時代」とテラデータの決断
今日、企業ITの世界では、サーバーやアプリケーションではなく「データ」が主役だ。2010年代以降、ビッグデータ、IoT、AIと、データ高度活用のためのテクノロジーが次々ブームと化し、それらを巧みに活用した企業がマーケットを支配するようになり、決定的な潮流となった。そもそもビジネス価値の元は必ずデータなので、今さら主役と言うのもおかしな話ではあるが、データ自体にここまでスポットが当たったことは過去になかった。
テラデータは1979年の設立以来、社名のとおりデータをコア事業に、データウェアハウス(DWH)市場を長年牽引してきたベンダーだ。同社にとって、今のデータの時代は追い風であるはずだが、同時に向かい風も吹いている。5年前や10年前には存在しなかった/競合しなかったベンダー含め(代表格は、DWHの価格破壊を起こしたクラウドサービスのAmazon Redshiftだろう)、市場に新旧ライバルがひしめく熾烈な戦いのリングにも立たされているのだ。
39年前にビッグデータ時代を予見した社名も、今となっては個人デバイスのディスク容量の単位だ。栄枯盛衰の激しいIT業界において長い歴史と実績があり、その顧客もまた伝統的大企業が大半の名門ベンダーに、尖った先進性をあまり感じないという読者もおられるだろう。特に、ベテランのユーザーにとっては、OLTP特化型RDBMSのTeradata Databaseと専用機が売りのDWHベンダーというイメージが強いかもしれない。
テラデータの知名度を押し上げたDWHという分野は、もちろん今でも活況だが、かつてのようなIT投資における重点テーマの扱いではなく、狭義の技術・製品分野を指すようになっている。つまり、今はAIやマシンラーニング、IoTなどが花形のデータ活用/データマネジメントにおける基盤要素の1つという位置づけだ。
また、“テラ”が世の中で当たり前になったことで、ブランディングの観点から、社名変更の議論がなされたこともあったようだ。そんなテラデータが今後の生き残りと成長のために打った手は、社名変更ではなく、DWHからデジタル時代のアナリティクスを扱うベンダーへの転換だった。
テラデータの新しいチャレンジは、ビクター・ランド(Victor L.Lund)氏がCEOに就いた2016年春に本格始動した。この年の秋、同社は、アナリティクス製品の次世代コンセプトとして「Teradata Everywhere」を掲げている。
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