[新製品・サービス]
IIJ、ネットワーク機能をクラウドで提供する「IIJ Omnibus」を強化、SD-WAN、VPNなどを追加
2018年10月24日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
インターネットイニシアティブは2018年10月24日、SDN(ソフトウェア定義型ネットワーク)ソフトやNFV(仮想マシン型のネットワーク機器)を利用して企業ネットワークをクラウドで提供するサービス「IIJ Omnibus」の機能を強化したと発表した。新たに、UDPを利用して接続を切れにくくしたリモートアクセス用のVPNサービス、SD-WAN、クラウドプロキシ、Active Directory(AD)などを追加した。500人以上の中堅・大企業を対象に販売する。
インターネットイニシアティブの「IIJ Omnibus」は、ファイアウォール(ゲートウェイ)やメールサーバー、Webプロキシサーバー、リモートアクセスサーバーといった、これまで社内LAN上で運用していたネットワーク機器の機能を、IIJがクラウド型で提供するサービスである。
ユーザー企業は、アクセス回線とエッジに設置する装置さえあれば、これまでの社内LANと同様にネットワークを利用できる。今回、IIJ Omnibusに、いくつか新機能を追加したほか、既存機能を強化した。
UDPで接続を切れにくくしたリモートアクセス用VPN
新機能の1つが、UDPを使って接続を切れにくくしたリモートアクセス用のVPNサービス「IIJフレックスモビリティサービス」(FXM)である。送達確認がないUDPをベースに、エラー訂正でパケットロスに対抗する。FXMを使わない場合にパケットロスが22%発生したアクセス回線において、FXMを使うとパケットロスを2%に抑えられたという。
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FXMは、専用のエージェントソフトをPC(Windows/Mac)やスマートデバイス(iOS/Android)にインストールして使う。Active Directoryのユーザー認証と端末認証を使って接続するため、個別のログイン手続きは不要である。接続が切れた際の再接続の操作も要らない。
SaaSごとに適切な経路に振り分けるクラウドプロキシを提供
別の新機能として、SaaSへのアクセス経路を適切に振り分けるクラウドプロキシ機能も提供する。拠点からいったんIIJ Omnibusの網内にアクセスしてから、IIJ Omnibus網にあるクラウドプロキシを介して個々の経路を通ってインターネットにアクセスする形になる。
クラウドプロキシは、頻繁に変更になるSaaSのURLやIPアドレスに自動で追従するので、ユーザーはこれらをメンテナンスする必要がない。拠点のエッジ装置でSaaSのアクセスをインターネットに迂回させるやり方もあるが、アクセス回線が余計に必要になるほか、SaaSはURLやIPアドレスが頻繁に代わるので設定の変更も頻繁になってしまうと指摘する。
別の新機能として、ユーザー認証情報を管理するActive Directory機能も提供する。
SD-WANエッジ装置ラインアップを拡充、IPoE接続も可能
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機能強化としては、SD-WAN機能を強化し、拠点に設置するエッジ装置(サービスアダプタ)のラインアップを拡充した。フレッツ回線にPPPoEではなくIPoEで接続できるようにしたほか、SIMを搭載してモバイル回線を利用できるようにした。IPoEの適用によって遅延時間が最大で40分の1になるとしている。
モバイル通信サービスは、IIJ Omnibusの契約者に限って定額制で使えるサービスを用意している。月額1万4000円程度で、帯域が最大5Mビット/秒のモバイルデータ通信を、容量無制限で利用できる。
IIJ Omnibusは、企業がSaaSを活用する上での課題を解決すると、インターネットイニシアティブでサービスプロダクト事業部営業推進部長を務める三木庸彰氏はアピールする。
課題として三木氏は、フレッツによる拠点間ネットワークの帯域が不足気味であること、インターネット接続用のゲートウェイや接続回線に負荷がかかっていること、回線状況に応じてVPN接続が切れるなどモバイル通信を使う上でのストレスが大きいこと、ID/パスワードを管理する負荷が大きいこと、などを挙げる。これらを解決する機能群を、今回強化した。
IIJ Omnibusの価格は、社員2000人以上で、リモートアクセスVPN、クラウドプロキシ、SSO(シングルサインオン)と多要素認証、の機能を使った場合、1ユーザーあたり月額1500円程度になる。