無線LANアクセスポイント製品ベンダーの米Mist Systemsは2018年11月6日、都内で発表会を開き、2018年10月8日付で日本法人、ミストシステムズを設立したと発表した。日本法人の社長には中原浩輝氏が就任した。米国以外に法人を設立するのは日本法人が初めて。国内販売代理店はネットワンパートナーズで、2017年5月から米Mist Systems製品を販売している。
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ミストシステムズの無線LANアクセスポイント製品の特徴は、クラウド型の無線LAN管理サービス「The Mist Cloud」において、機械学習によるデータ分析を取り込んでいることである。アクセスポイント、無線LANデバイス、外部のネットワーク製品などから情報を収集し、機械学習によって、建物内のデバイスの位置や無線LANのサービスレベルなどを判定する(関連記事:ビーコンを代替できるクラウド型の無線LAN、ネットワンが新版で自然言語処理機能を追加)。
最も特徴的な機能が、建物内のデバイスの位置情報を調べる“仮想ビーコン機能”である。BLE(Bluetooth Low Energy)を用いてデバイスの位置を特定する。従来は、バッテリ駆動型のビーコンを建物内に配置する必要があったが、これが不要になる。アクセスポイントとBlueTooth端末側の専用アプリケーションがあれば、デバイスの位置を把握できる。
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仮想ビーコンを使うと、ホテルや病院などにおいて、A地点からB地点に行くための方法をデバイスに表示する、といった使い方ができる。国内では複数の企業が検証を目的に導入しており、2018年11月には、受付で使う用途で、商用環境において実運用がスタートするという。
機械学習を用いた別の機能として、サービスレベルの監視機能を提供する。例えば、無線LANに接続するまでに要した時間やデータの転送速度などをサービスレベルとして設定し、これを監視できる。性能などが平常時のベースラインを逸脱した際に、アクセスポイントがパケットをキャプチャして、分析に必要なメタデータをクラウドに転送する、といった運用ができる。
自然言語によって情報を得る仮想ネットワークアシスタント機能も備える。クラウド型の管理画面に自然言語でテキストを入力するだけで、欲しい情報が得られる。例えば、「別館で午前7時から午前9時の間に何か異常がありましたか」といった問いかけに回答してくれる。現在はまだ英語だけしか使えないが、日本語も使えるようにする予定である。
日本法人の設立に合わせ、外部のネットワーク管理製品のデータを取得して分析するためのパートナーシップ「AI for IT」も開始した。発表会には、協業するベンダーとして、ジュニパーネットワークス(ネットワークスイッチ機器)、ヴイエムウェア(SD-WAN製品)、パロアルトネットワークス(セキュリティ製品)の3社が登壇した。
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