NECと産業技術総合研究所(産総研)は2018年11月21日、産総研 ナノエレクトロニクス研究部門内に「NEC-産総研 量子活用テクノロジー連携研究室」を設立することで合意したと発表した。
新たに設立する「NEC-産総研 量子活用テクノロジー連携研究室」では、NECと産総研の研究開発力の融合を図り、量子アニーリングを始めとする量子性に基づいた先端技術領域の研究に注力し、量子コンピュータの研究開発を加速する。研究室は産総研 つくばセンター内に、2019年3月1日に設置する。
NECは、1999年に超電導固体素子を用いた量子ビットの動作実証に成功して以来、量子ビットや量子状態を制御するデバイス・回路の研究を継続してきた。現在は、従来技術を上回るスピードで組み合わせ最適化問題を計算できる量子アニーリングマシンの研究開発を進めている。
2018年10月には新エネルギー・産業技術総合開発機構による新規事業採択を受け、量子アニーリングマシンに関して産総研を含む幅広い機関と共同で開発を進める体制を整えた。今回、産総研と設立する研究室は、こうした動きを加速するものとなる。
産総研は、超電導デバイスの開発や量子物理学などの蓄積を有しており、低温超電導デバイス作製用機器と関連するノウハウを統合・集約した共用研究開発施設「超電導アナログ・デジタル開発施設(CRAVITY)」を運営している。自らの各種超電導デバイスの作製、研究開発に利用するとともに、企業や大学などに提供し、超電導デバイスの研究開発に貢献してきた。
産総研の大型連携のための制度である連携研究室では、企業の研究者をグループ単位で受け入れることが可能だ。産総研は、この連携研究室などの取り組みにより、基礎研究の成果をイノベーションにつなげる「橋渡し」を推進している。