再生可能エネルギー(再エネ)活用や脱炭素化を目指す企業・団体グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(JCLP)および「再エネ100宣言 RE Action」は、再エネや脱炭素化に関するデータやノウハウを安全かつ容易に共有する基盤として、ブロックチェーン技術を活用したデータ流通・利活用基盤「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」を導入する。富士通が2019年10月8日に発表した。
Virtuora DXは、JCLPおよび2019年10月発足予定の新たなイニシアチブであるRE Actionの参加会員企業・団体のコミュニティとして、2019年10月から運用される脱炭素コンソーシアムで活用する。企業や団体は、再エネや脱炭素化のニーズや技術、事例、課題などをVirtuora DXの「データジャケット」にそれぞれ登録することで、需給マッチングや新ビジネス創出に向けた企業・団体間の連携を進めることができる。
データジャケットは、東京大学 大澤幸生教授によって考案されたデータ記述モデルである。データの詳しい内容は明かさずに、データの概要や取得期間、取得場所などの情報を記述することで、デジタル情報の羅列である実際のデータの価値を人が理解できる形式で記述する。
JCLPでは、2018年より再エネの利活用や脱炭素化をより効率的・効果的に実現することを目指し、Virtuora DXの運用試行をRE100の参加企業や再エネ事業者などと実施してきた。
その成果を踏まえ、JCLP会員およびRE Action参加者で構成されるコミュニティとして運用を開始する脱炭素コンソーシアムで、Virtuora DXが活用される。富士通は、同基盤の提供を通じて、需給マッチングや新ビジネス創出など、利用者間の共創を促進する新たなエコシステムの構築を支援する。
具体的には、再エネを導入したい企業の所在地や消費電力量などの需要情報や、再エネを供給する企業の電力プランや料金などの供給情報をVirtuora DX上にデータジャケットの形式で登録する。
登録された再エネ需要情報と供給情報は、データ間のつながりを可視化する「KeyGraph」(東京大学 大澤幸生教授が提唱したデータ間のつながりを可視化する手法)で表示する(図1)。これにより、需要と供給のニーズ同士をマッチングする。マッチングが成立した企業や団体間では、特定の相手とデータを暗号化して安全に共有する機能を用いて、具体的なやりとりを実施できる。
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データジャケットとして登録された、企業や団体が持つ技術や事例などのノウハウ、課題、助成金など再エネに関する最新情報なども、KeyGraphで関連性とともに可視化する。共通課題を持つ企業や団体の新たな取り組みや、新ビジネス企画などのアイデア創出を促進する。
例えば、VPP(Virtual Power Plant:太陽光発電や蓄電池、電気自動車などの設備をまとめて管理・制御することで、仮想的な発電所を構築すること)の構築や再エネ設備のシェアリングなど、単一企業では難しかった再エネに関する新たな取り組みを促進できる。KeyGraphによる関連性可視化のほか、プロフィール機能により会員の専門性や関心事も参照可能だ。会員同士でトークを開始できるコミュニケーション機能も備えており、共創・協業のプロセスを促進する。