IDC Japanは2020年3月30日、国内における法人向け5G関連のIT市場予測を発表した。ユーザー企業、通信事業者、ベンダーなどに対する調査結果から、2026年の市場規模を1436億円、2020年~2026年の年間平均成長率を198%と予測している。
次世代モバイル通信規格である5Gの商用サービスが、2020年春にスタートする。また、企業などが個別に構築/運用できる「ローカル5G」の提供も始まった。5Gの最大のターゲットは産業分野のIoTシステムである。
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IDC Japanは今回、ユーザー企業や通信事業者/ベンダーに対する調査から、国内における法人向け5G関連のIT市場規模を予測した。2020年~2026年の年間平均成長率は198%で、2026年の市場規模は1436億円になる(図1)。
調査では、企業などが個別に構築/運用できる「ローカル5G」について、望ましい運用形態をユーザー企業に聞いた。この結果、ユーザーみずから通信網を構築するのではなく、ベンダーからサービスの形態で利用するニーズが大きかった。
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44%のユーザーは、サービス事業者が通信網を保有し、ユーザーはこれを利用する形態が望ましいと回答した(図2)。通信網をみずから保有し、運用もみずから行う形態は同率(44%)だった。通信網をみずから保有し、運用をアウトソーシングする形態は12%だった。
5Gに関する理解度も調べた。ユーザー企業が知っている5Gの特徴を調べたところ、ローカル5Gや28GHz帯などのコアな特徴について知っていると回答したユーザーは、4割前後と少なかった(図3)。一方で、高速大容量といった分かりやすい特徴は、80%以上の人が知っていた。
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調査からは、企業への5Gの普及が、無線LANや固定ブロードバンドといった既存のネットワークの置き換えではなく、新規のデジタル変革用途やスポット導入から始まることも分かった。
また、産業分野では、無線化による生産設備などのフレキシビリティ向上、画像などによる設備の監視や予兆保全、自律移動機器(自動搬送車、ロボット、ドローンなど)の活用、検査/点検、遠隔からの作業支援、3Dシミュレーションなどに期待が集まっている。
「5Gの普及拡大には、ユーザー企業にとっての5G利用環境が整う必要があり、やや時間を要すると予測している。5Gサービス提供エリアの早期拡大、5G SA(スタンドアロン)構成の提供、コストの低廉化、デバイスやアプリケーションなどエコシステムの発展、自律運転や遠隔操作の安全性に関する法制度の整備などの環境が整う必要がある」(同社)。
なお、今回の発表はIDC Japanの「2020年国内法人向け5G市場 企業ユーザー調査と市場予測:産業領域における5G活用の展望」で詳細を報告している。本レポートでは、企業に対する5Gに関するアンケート調査、5G関連ITサプライヤーの動向、法人向け5G関連IT市場予測(産業分野別)、法人向け5G端末/通信モジュール/通信サービス市場規模予測をまとめている。