東レは2020年7月29日、製品の品質検査情報をデジタルデータで収集・共有する品質データ基盤を構築したと発表した。すでに東レグループ内で一部運用を開始している。今後、この基盤を通じて、顧客などグループ外の企業とも品質データを共有し、品質保証体制の向上を目指す。
東レは以前から、工場内の様々な検査機器から品質検査情報をデジタルデータとして自動収集する取り組みを進めている。東レとNECは今回、「品質データ基盤」を用いて、東レグループの品質保証体制を強化する(図1)。
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具体的には、検査機器から抽出した製品の品質検査情報を、デジタルデータとして収集・保存する。この上で、品質データ基盤を通じてサプライチェーン上で情報を共有する。この共有プロセスに人手を介さないことで、品質検査情報の信頼性の向上と品質保証業務の効率化につなげる。
検査結果の過去情報を基盤に集約している。これにより、品質の傾向を見える化してグラフ形式で確認できる。傾向を顧客と共有することで、顧客は自社製品の品質調査の際にこのデータを活用できる。例えば、品質傾向のデータを活用し、JISの異常判定ルール(JISで示された機器などの異常判定を行う8つの基準)に則った異常検知を行うことができる。
東レグループは、すでに生産拠点の一部で品質データ基盤を導入し、品質検査情報の信頼性向上と品質保証業務の効率化に取り組んでいる。今後は、共有範囲を顧客などグループ外へも拡げることによって、サプライチェーンを通じた品質管理レベルの向上を目指す。
背景について同社は、製造業でもデジタル技術を活用し、信頼性向上と業務効率化を図ることが、国際競争力を強化していくうえで重要になっていることを挙げる。