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富士通研究所、写真などによる顔認証のなりすましを検知する画像解析技術を開発

2020年9月18日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

富士通研究所は2020年9月18日、カメラでの顔認証時に写真や画像などを提示して他人になりすます不正行為を検知できる技術を開発したと発表した。顔の向きを左右に振ったり近赤外線カメラを使ったりすることなく、認証時に撮影する顔画像の解析だけでなりすましを検知できる。2020年度中の実用化を目指す。

 富士通研究所は今回、写真を使った顔認証のなりすましを検知する画像解析技術を開発した。カメラの前で顔を左右に振ってもらったり、近赤外線カメラなどの専用デバイスを使ったりしなくても、カメラに映した顔画像を解析するだけで、本物の顔を映した画像なのか、それとも写真などを映した偽りの顔画像(顔偽造物)なのかを判別できる。

 開発の背景について同社は、非接触で使える生体認証の手法として、カメラで撮影した顔画像で認証を行う技術が注目を集めている状況を挙げている。「しかし、顔画像はSNSなどでインターネット上に公開されている場合が多く、他人の顔画像をカメラに提示して他人になりすます偽造物攻撃の懸念がある。カメラに写った顔が本物か偽造物かを判定する技術が求められている」(同社、図1)。

図1:IDカードなどを使った顔認証システムに対する他人へのなりすましの例(出典:富士通研究所)図1:IDカードなどを使った顔認証システムに対する他人へのなりすましの例(出典:富士通研究所)

 従来は、まばたきをしてもらったり、顔の向きを変えてもらったりして本人を認証していた。また、近赤外線カメラや、被写体とカメラの距離を測る深度カメラなど、専用のカメラを用いて偽造物に特有の特徴を捉えていた。しかし、これらのやり方だと、認証時の利便性が下がってしまったり、専用デバイスの設置コストがかさんだりしていた。

 新たに開発した技術は、カメラに映した顔画像の解析だけで、本物か偽造物かを判定する。富士通研究所の検証では、一般的なオフィス環境やテレワークを想定した環境で収集した独自の評価データセットを使って評価したところ、利用者による所定の動きや専用のカメラがなくても、従来と同程度の精度で他人へのなりすましを検知できることを確認したという。

 開発した技術の特徴は、大きく2つある。

●Next:写真によるなりすましを検知する仕組み

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