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遺伝子変異から疾患原因を推定してAI推定根拠を提示するシステム、富士通と京都大学が開発

2021年3月12日(金)IT Leaders編集部

富士通と京都大学大学院医学研究科 奥野恭史教授らの研究グループは2021年3月11日、特定の遺伝子変異が何らかの疾患の原因になる可能性(病原性)の有無推定と共にAIの推定根拠を提示するシステム「MGeND Intelligence(エムジェンド インテリジェンス)」を開発したと発表した。ゲノム医療における未知の遺伝子変異に基づく治療検討を支援する。京都大学は2021年4月から、共同研究者や協力機関などに対して利用提供を予定している。

 ゲノム医療では、患者の個々の遺伝子変異に対して病原性の有無を知ることが重要である。患者の遺伝子に病原性のある変異を見つけることができれば、その変異に対して治療法を検討できる。しかし、膨大な遺伝子変異のうち疾患への関連性が明らかになっている変異はごく一部にすぎない。病原性の有無が未知の遺伝子変異からは、疾患の治療に役立つ情報を得られていない。

 富士通と京都大学大学院医学研究科 奥野恭史教授らの研究グループは2016年11月から、日本医療研究開発機構が推進する臨床ゲノム情報統合データベース整備事業に参画し、医療従事者や研究者による遺伝子変異の検討作業をAIで支援する研究に取り組んできた。

 今回、特定の遺伝子変異が何らかの疾患の原因になる可能性(病原性)の有無推定と共にAIの推定根拠を提示するシステムとして「MGeND Intelligence」を開発した(図1)。京都大学から研究者や協力機関などに公開する。

図1:検証システムの構成図(出典:富士通)図1:検証システムの構成図(出典:富士通)
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 MGeND Intelligenceは、構成要素として、遺伝子変異の病原性の有無を高精度に推定する病原性推定AI、推定の根拠を示す説明可能AI、関連する論文記載の検索を支援する文献探索支援AIがある。

 京都大学が2018年に公開した臨床ゲノム情報統合データベース「MGeND」と連携し、病原性の有無が未知の変異である場合も含めて、医療従事者や研究者による遺伝子変異の調査・臨床的解釈の作業を支援する。がんをはじめとしたゲノム医療での治療方針検討など、診療支援につながる。患者にとっては、最適な医療提供が加速されることを期待できる。

 富士通は今後、今回の成果を基に説明機能の充実を図り、電子カルテを主とした病院情報システムにおけるゲノム医療を支援する機能を新規開発する。全国の中核拠点および拠点病院、連携病院への導入を目指す。京都大学は、日本医療研究開発機構事業の共同研究者や協力機関などを中心に、MGeND Intelligenceの利用提供を予定している。

●Next:MGeND Intelligenceの開発要素になった3つの技術

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