鹿島建設、日立製作所、H.U.グループホールディングス、九州大学、電通は2021年10月21日、ワクチン接種履歴や陰性証明を紙の証明書を持ち歩くことなく手ぶらで提示できる仕組みを構築し、共同実証を開始した。同年9月27日~10月6日には、鹿島建設の赤坂Kタワー(東京都港区)において、従業員を対象にワクチン接種履歴や陰性証明の情報から入館を許可する一連の技術検証を実施した。今後、オフィスなど建物内での実装に向けた準備を進めると共に、建設現場などでも共同実証を行う予定である。
鹿島建設、日立製作所、H.U.グループホールディングス、九州大学、電通は、ワクチン接種履歴や陰性証明を、紙の証明書を持ち歩くことなく手ぶらで提示できる仕組みを構築し、実証を開始した。2021年9月27日~10月6日には、鹿島建設の赤坂Kタワー(東京都港区)において、従業員を対象に、ワクチン接種履歴や陰性証明を利用してオフィスへの入館を許可する一連の技術検証を実施した(写真1)。
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ワクチン接種履歴や陰性証明は、H.U.グループホールディングスのグループ会社が提供するモバイルアプリ「ウィズウェルネス」で管理する。これと、公開鍵暗号基盤(PKI)と生体認証を融合させた日立の認証技術「PBI(Public Biometrics Infrastructure、公開型生体認証基盤)」を組み合わせる(写真2、関連記事:日立、手ぶらで決済できる「生体認証統合基盤サービス」、生体情報からPKIの秘密鍵を都度生成)。
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ユースケースとして、ビルの入館システムで運用した場合、入館時に本人を認証することで、本人とひも付いたデータ(ワクチン接種履歴や陰性証明)を利用した入館許可を挙げている。例えば、ワクチン接種履歴がない人の入館を断る、といった運用が可能になる。ビル入館者は、本人認証によって、紙の証明書を持ち歩くことなく、ワクチン接種履歴や陰性証明を提示できる。
本人を認証する仕組みとして、日立のPBIを採用している。生体認証で本人を確認し、手ぶらで認証を受けられる。ID/パスワードの入力といった手間も要らない。さらに、生体認証であることから、他人によるなりすましを防止できる。例えば、他人のワクチン接種証明書を提示する、といったことができなくなる。
鹿島建設の赤坂Kタワーでの実証実験では、生体認証デバイスに非接触型の指静脈認証装置「日立指静脈認証装置C-1」を採用。赤外線を反射させて検出する仕組みで、デバイスに指を触れることなく約2cmの距離を空け、手のひらを下にした状態で、センサー部に3本の指を近づけると認証を行う。
鹿島建設は今後、オフィスなど建物内での実装に向けた準備を進めるとともに、建設現場などにおいても共同実証を行う予定である。さらに、オフィスビル以外の場所(学校、病院、イベントホール、レストラン、観光地)などへの実装に向けて検討を進めていく。