東京大学発のAIベンチャーであるTRUST SMITHは2021年12月28日、フードデリバリーの宅配経路を最適化するAIアルゴリズムを提供開始した。複数の店舗(発着点)と複数のドライバーの組み合わせで最適化を行える。また、配達予想時刻や移動距離など、フードデリバリー各社が優先したいパラメータに合わせて最適化する。配送時間を優先した実験では、TRUST SMITHのアルゴリズムは、距離が近い順に配送する場合と比べて配送時間が50%減ったという。
TRUST SMITHは、フードデリバリーの宅配経路を最適化するAIアルゴリズムを提供開始した。特徴の1つは、複数の店舗(発着点)と複数のドライバーの「複数対複数」の組み合わせで最適化を行えることである。複数の店舗を経営する飲食チェーンに向く。これに対して一般的なシステムは、1つの店舗が受けた注文に対して複数のドライバーが配達を受注する「1対複数」の構図であり、店舗が複数あるケースでは最適な宅配割り当てや経路生成は難しかったという。
AIアルゴリズムのもう1つの特徴は、移動距離や配送時刻など、優先したいパラメータに合わせて最適化することである。フードデリバリー各社が抱えている課題に合わせてアルゴリズムを構築する。専属のコンサルティングメンバーをつけるなど、ユーザーのニーズを吸い上げる体制も整えている。
TRUST SMITHによる実験では、「商品の配送時間が最小となる」最適化を行ったアルゴリズムは、距離が近い順に配送するアルゴリズムと比べて配送時間を50%改善したという。
宅配経路を算出する際の入力データは、以下の6つである。
- 店舗の座標
- 配送員の数、勤務時間、位置
- 注文の時刻、位置、商品種類
- 注文の調理開始、完了時刻
- 商品の積み込み、納品にかかる平均時間
- 各種経費
以下の6つのパラメータに優先度をつけて宅配経路を算出する。
- 配達予想時刻
- 注文の完了時刻
- MAP上での経路
- 配達員の稼働率
- 移動距離
- コスト