東工大発AIベンチャーであるSOINN(東京都町田市)は2022年1月4日、画像認識・外観検査AI「Switch Vision Light」(SV-L)を販売開始した。特徴として、軽量でありながら精度が高いことをアピールする。ディープラーニング(深層学習)に匹敵する精度を、少量データの軽量演算で得られるとしている。価格は、費用対効果に基づき個別に料金を設定する。
Switch Vision Light(SV-L)は、画像認識・外観検査のためのAIソフトウェアである。教師あり学習、良品学習、半教師あり能動学習ができる。軽量でありながら精度が高いことをアピールしている。ディープラーニング(深層学習)に匹敵する精度を、少量データの軽量演算で得られるとしている。大量の学習データを用意できない現場や、学習に時間をかけられない現場などに向く。
教師あり学習に必要なコストをディープラーニングと比較すると、同等レベルの精度を得たい場合、学習画像の枚数、ハードウェアの費用、学習時間のいずれもが1/50~1/100で済むとしている。ディープラーニングではGPUを使って約10時間かかる学習が、SV-Lでは市販PCのCPUで数分で済むとしている。
また、SV-Lを使うにあたって、AIの専門知識は不要だとしている。パートタイムの検査員が現場設置の市販PCでSV-Lを直接調整して学習・運用する、といったことも可能だとしている。教師あり学習時のSV-Lの画面例は画面1の通り。AIが何をどう学習したのかを確認しつつ、初期学習、ラベル調整と再学習、追加学習などが可能である。
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一般に、OK/NGの識別では、OK/NGの境界付近のデータが重要である。SV-Lでは、OK/NGの境界がどこにあり、境界の近辺にどのような画像が来ているかが一目瞭然だとしている。これに対して、境界付近の画像を集中的に追加することで、効率的に精度を向上させられる。
なお、工数がかさむ最初期の学習・調整は、SOINNがユーザーのデータを使って無料で行えるとしている。SOINNにデータを開示できない場合はユーザーみずから調整する使い方も可能。ユーザーは、所有するデータに対してSV-Lがどの程度有効なのかや、機能・性能・使い勝手などを確認した後で有料ライセンスへの移行可否を判断する。