[市場動向]

富士通、ソフトウェアベースの5G SA基地局、リソースを動的に配備してCO2排出量を5割超削減

2022年2月25日(金)IT Leaders編集部

富士通は2022年2月24日、5G仮想化基地局を開発したと発表した。仮想化基地局(汎用ハードウェア上で動作するソフトウェアベースの基地局)でありながら、従来の仮想化基地局の課題であった消電力化と高性能化の両立を実現した。5G技術だけでネットワークを構成するSA(スタンドアローン)方式の基地局として利用可能である。同年3月から通信事業者向けに検証用としての提供を開始する。今後は、仮想化基地局をグローバルに展開する予定である。

 富士通は、仮想化基地局(汎用ハードウェア上で動作するソフトウェアベースの5G基地局)を開発した(図1)。従来の仮想化基地局の課題であった、消電力化と高性能化の両立を実現した。5G技術だけでネットワークを構成するSA(スタンドアローン)方式の基地局として利用可能である。O-RAN仕様に準拠している。

図1:仮想化基地局を用いたシステム全体のCO2排出削減イメージ(出典:富士通)図1:仮想化基地局を用いたシステム全体のCO2排出削減イメージ(出典:富士通)
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 2022年3月から、通信事業者の検証用として汎用サーバー上で動作するソフトウェアの提供を開始し、フィールド試験を含めた各種検証を支援する。2022年度中に、各通信事業者の商用サービス網での展開に向けて、グローバルに提供を開始する。ソフトウェア機能のアップデートを順次行い、2025年に従来型基地局システムと比べて総CO2排出量を50%以上削減することを目指す。

 総CO2排出量を削減する手段の1つとして、ソフトウェアの制御方式を改善した。これにより、高い性能とキャパシティを実現。通信速度の高速化を図るとともに、通信可能な範囲を2倍から4倍に高めた。

 基地局の運用に必要なサーバーの演算リソースを動的に割り当てる技術も採用した。地域や時間帯によって変化する基地局の利用状況(通信量)に応じて演算リソースを柔軟に変更する。RANインテリジェント制御部(RIC)とネットワーク全体のオーケストレーションと管理を行うSMOを同技術と連携させることによって、携帯電話利用者の移動やアプリケーションの利用状況を推定し、リソースを適切に割り当てる。

 多数の基地局の電波が重なる環境下で、無線装置(RU)と仮想化基地局(CU/DU)の組み合わせの中から最適な接続先を導き出す技術も搭載した。AIを活用して将来の通信量の変動を予測したうえで、富士通の量子着想技術で組合せ最適化問題を高速に解く「デジタルアニーラ」を用いて最適な接続先を導き出す。

 開発の背景について同社は、汎用サーバーで構成した仮想化基地局は、専用機器で構成した無線基地局と比べて性能効率が低下することを挙げる。「同等の性能を維持するには、より多くのハードウェア機器を組み込む必要があるため、結果的に消費電力などの環境負荷が高まってしまうという課題がある。また、安定性や冗長性においても、従来の仮想化基地局では通信品質を十分に担保できない場合があった」(同社)。

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