[新製品・サービス]

NEC、分析用データをAIで補完・拡張してリッチ化するSaaS「NEC Data Enrichment Portal」

データの意味を推定する「データ意味理解技術」を活用

2022年3月16日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

NECは2022年3月16日、SaaS型データ統合サービス「NEC Data Enrichment Portal」を提供開始した。ユーザーが保有するデータをAIで分析し、関連性が高い社内外の情報と組み合わせてデータを補完・拡張する。既存サービスの「NEC Data Enrichment」は、NECがユーザーからデータを預かり、拡張データに加工して提供する。新サービスでは同様の機能をセルフサービス型のSaaSで提供する。価格(税別)は月額50万円から(処理データ量に応じて変動)。販売目標は、発注業務や商品開発業務などを中心に今後3年間の累計で5億円。

 NECの「NEC Data Enrichment Portal」は、ユーザーが保有するデータをAIで分析し、関連性が高い社内外の情報と組み合わせてデータを補完・拡張するクラウドサービスである。

 既存サービス「NEC Data Enrichment」は、NECがユーザーからデータを預かり、拡張データに加工して提供するサービスだった。今回の新サービスでは、同様の機能をセルフサービス型のSaaSの形態で提供する。既存サービスと比較すると、WebブラウザのGUI操作だけでデータの拡張・補完ができるので、ビジネス部門でも手軽に利用が可能である。

 NEC Data Enrichment Portalでは、テキストデータなどの非構造データを分析に適した構造化データに変換したり、データを補完・拡張したりする。専門家の知識やスキルを必要とすることなく、データの統合・正規化・標準化といった、分析前のデータ準備工程を効率化する。

 補完・拡張したデータを用いることで、保有データだけでは得られない新たな知見を導出したり、分析精度を向上させたりできる。専門家が人手で行う場合と同等品質のデータ補完・拡張作業を、約1/10の時間で完了させられるとしている。

 データを補完・拡張する要素技術として、NECの「データ意味理解技術」を使う。同技術は、作成者や所有者が異なる多種多様な表データを1つに統合する技術である。表データの各行や各列が何を表しているかをAI分析によって推定する。例えば、列名のない数値データ列の意味(「売上高」や「年齢」など)を、統計的な分布傾向や関連性(同一表内の他の項目値など)から推定する(関連記事NEC、データ列の意味をAIで推定する技術を開発、表データの統合を容易に)。

 SaaS版で新たに追加した機能もある。テキストデータの補完・拡張機能である(図1)。あらかじめ分類タグを設定しておくと、例えば営業日報などのテキストデータに対して、AIがタグとの関連性や類似性のスコアを出力して統合する。これにより、テキストデータを定量データとして取り扱うことができるようになる。これまで活用が難しかったテキストデータの分析への活用が容易になるとしている。

図1:「データ意味理解技術」を用いてテキストデータを補完・拡張するイメージ(出典:NEC)図1:「データ意味理解技術」を用いてテキストデータを補完・拡張するイメージ(出典:NEC)
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 なお、SaaS版の提供に先行し、ADKマーケティング・ソリューションズと、テレビスポット個人視聴率予測システム「Spot-Navi」における予測の高度化に向けた実証を2022年1月に開始した。

 同社は以前から、NECが販売するAIソフトウェア「dotData」を使い、1カ月あたり約5000のテレビ番組について、オンエア当日における世帯・個人全体や詳細な性年代別の毎分視聴率を予測している。今回の実証では、番組内容、出演者などのテキストデータに含まれる特性をNEC Data Enrichment Portalで補完・拡張する。これにより、消費者の関心や価値観を反映した、より高精度な視聴率予測の実現を目指す。

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NEC / NEC Data Enrichment / データ意味理解技術 / dotData

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