東京電力ホールディングス(本社:東京都千代田区)は、社内の複数システムからのデータ収集業務を効率化するため、データ仮想化ソフトウェア「Denodo Platform」を導入した。これにより、従来2カ月以上を要していたデータ取得を最短3営業日に短縮し、工数を最大8割削減した。2024年10月から稼働している。Denodo Technologiesが2025年7月3日に発表した。
東京電力グループでは、各事業会社の業務ごとにITシステムが独立している。このため部門や会社の垣根を超えたデータ活用が困難で、「必要な手続きを経ればデータを取得可能だが、申請から取得まで2カ月以上を要するケースもあった」(東京電力ホールディングス)という。

2023年9月に、Denodo Technologiesのデータ仮想化ソフトウェア「Denodo Platform」のPoC(概念検証)を実施してデータ統合に着手。5つのシステムを接続して法人と個人の顧客データを統合するなど複数のユースケースを検証した。その結果、既存システム構成を大幅に変更することなくデータ連携が実現可能と判断し、導入を決定した(図1)。
Denodo Platformは、データベースやWebサービスなど各種のデータソースを複製することなく生データのまま仮想化し、データにアクセスしやすくする。データ分析のためのデータプレパレーション(準備)時間を短縮できるなどの利点がある(関連記事:データ仮想統合ミドルウェア新版「Denodo Platform 9.0」、RAG構成AIシステムの構築を容易に)。
データ仮想統合の効果として、データの取得工数を最大8割削減し、最短3営業日、平均5営業日で取得できるようになったという。データ連携に必要なシステム改修や手続きが不要となり、必要な時に必要なデータを取得・加工・分析できる環境が整えている。
現在、8つのシステムと連携しており、今後は接続対象をさらに増やす予定である。東京電力は、「SQLの知識がなくてもGUIで操作できるため、業務部門みずから業務に必要なデータを取得できるようになった」と評価している。