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日本ゼオン、製造現場のIoTデータを活用する共通基盤を構築、モバイル閉域網を活用

2025年10月16日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本ゼオン(本社:東京都千代田区)は2025年10月15日、IoT共通基盤の運用を開始したと発表した。製造拠点や研究施設で蓄積するデータを可視化して活用し、全社横断でスマート工場化を進める。現場が蓄積した操業データを安全な方法で全社的に活用する仕組みとして、ソラコムのモバイル閉域ネットワークを利用する。

 日本ゼオンは、自動車タイヤ用の合成ゴムやスマートフォンディスプレイ向け光学フィルムなどの高機能素材を提供している化学メーカーである。

 同社では安定的な操業を実現するため、生産に関わるシステム(プラント制御システムや周辺の測定・監視システム)を他の社内ネットワークと切り離して運用し、外部からの不正アクセスを遮断している。

 ただし、ネットワークが独立していると、生産システムの操業データを全社横断で活用することが難しい。このことが、スマート工場化を進めるうえでの課題だったという。「分析装置や製造ラインから習得できるデータは有用であり、これらを安全に活用する仕組みを求めていた」(同社)。

図1:日本ゼオンがモバイル閉域網を使って構築したIoT共通基盤の概要(出典:日本ゼオン)
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 そこで、各現場が蓄積した操業データを安全な方法で全社的に活用可能にするために、IoT共通基盤を構築した。ソラコムが提供する、測定機器などからモバイル通信の閉域ネットワークを経由してクラウド上の共通システムや工場・研究所システムに接続する仕組みをとる(図1)。

 有線LANの敷設工事が不要で、センサーや分析装置などを接続しやすいというモバイル通信網のメリットを生かしている。任意の場所にゲートウェイ機器を設置することで、社内からアクセス可能だが外部からはアクセスできない通信環境を実現した。

 全社導入に先立ち、同社高岡工場(富山県高岡市)に「設備の動作監視システム」を構築し、PoC(概念実証)を経て2025年5月に運用を開始。これまでは工場敷地内での移動が強いられた巡回点検業務を大幅に軽減している。また、リアルタイムデータの収集・活用により、異常の早期発見や予兆検知が可能になった。

 現在、日本ゼオンは複数拠点でIoTプロジェクトのPoCを進めている。高い効果が得られた取り組みを全国の製造拠点に順次展開していく計画である。

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