LeapMindは2022年5月25日、製造業向け外観検査AI「Efficiera 異常検知モデル」を発表した。同年6月から提供する。AIモデルは、同社の省電力AI推論IP(回路設計情報)「Efficiera」で利用する。不良品データがなくても良品(正常)データさえあれば、不良品を判定可能なAIモデルを作成できるのが特徴で、アノテーション(ラベル付け)作業も不要である。「数十枚の正常データだけを使い、数秒で学習が完了する」という。
LeapMindの「Efficiera 異常検知モデル」は、製造業向けに特化した、外観検査AIモデルである。画像を元に正常品と不良品を判定する。特徴は、不良品データがなくても良品(正常)データさえあれば、不良品を判定可能なAIモデルを作成できること。アノテーション(ラベル付け)作業も不要で、学習した不良だけでなく想定外の異常も検知する。「数十枚の正常データだけを使い、数秒で学習が完了する」(同社)という。
AIが異常と判定した箇所は、ヒートマップを用いて分かりやすく視覚化する(図1)。これにより、多品種少量生産ラインに置いても、AIエンジニアのサポートを受けることなく、現場で簡単に調整が可能である。学習結果は、数MB程度のサイズの小さなデータに保存し、後から推論に利用できる。このため、学習が誤っていた際のやり直しも簡単だとしている。
AIモデルは、同社が提供している「Efficiera」で利用する。Efficieraは、FPGA/ASICの回路として動作する、省電力AI推論アクセラレータIPである。ディープラーニング(深層学習)の1つであるCNN(畳み込みニューラルネットワーク)の推論演算処理に特化している。利用可能なAIモデルとして、「物体検知」「ノイズ低減」「異常検知」(今回発表)の3種類を用意している。
Efficieraの特徴は、量子化ビット数(データの情報量)を1~2ビットまで最小化する「極小量子化」技術によって電力効率を高めていることである。各種の小型エッジデバイスにディープラーニングの学習機能と推論機能を組み込めるとしている。クラウドAIと比べて、検査対象の画像をデバイス外に出す必要がないため、情報漏洩のリスクやネットワーク帯域などを減らせる。また、GPUサーバーと比べると、機材コストや設置スペースを削減できる。