NTTデータは2022年6月6日、データセンターの液浸冷却システムの検証結果を発表した。電力使用効率を示す推定PUE値で1.07を達成し、従来型データセンター(PUE値1.7)と比べて、冷却に使うエネルギーを最大97%削減する。2023年度中のサービス提供を目指す。
NTTデータは、液浸(えきしん)冷却方式によるデータセンター冷却システムを実機を用いて検証し、その結果を発表した。今回の検証は、2022年3月9日~4月28日にかけて、NTTデータの三鷹データセンターEAST(東京都三鷹市)で実施。技術や機器を提供する9社(三菱重工業、HPCシステムズ、LiquidStack Holding、日比谷総合設備、デル・テクノロジーズ、シスコシステムズ、エヌビディア、インテル、スリーエムジャパン)が協力した(図1)。
検証では、データセンターの電力使用効率を示すPUE(Power Usage Effectiveness)値で推定1.07を達成した。従来型データセンター(PUE値1.7)と比べて冷却に使うエネルギーを最大97%削減する計算となる。
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今後は、実機検証で得た結果を踏まえ、液浸冷却システムを採用した省エネデータセンターサービスの2023年度中の実装・提供に取り組む。取り組みでは、自社データセンター内に液浸専用マシン室を構築するほか、社内システムへの導入を通して、早期のサービスモデル実現を図る。
液浸冷却は、IT機器を絶縁性のある液体(フッ素系不活性液体やシリコンオイルなど)に浸して冷却する方式で、空気冷却と比べて冷却効率が高い。今回の検証では、液浸冷却の中でも効果が高い二相式液浸冷却装置(6kVA:2台)を用いて検証した。二相式では、液体の沸騰による気化熱を冷却に活用する(図2)。
検証では、冷却能力を最大限活用するためのパラメータ要因と、各機器の運転限界値を把握することで、PUE値1.07を実現するための運転条件を明らかにした。また、冷媒液の温度別におけるIT機器のパフォーマンスや、異常発生時の冷却システム/IT機器の挙動を確認している。NTTデータは、これらによって運用におけるメンテナンス性能や、障害発生時の挙動に対する課題を明らかにしている。
NTTデータは以前より、2030年にデータセンターのカーボンニュートラル化を達成することを目標に掲げている。