[事例ニュース]

福田組、トンネル技術者の現場の立ち会い業務をAIで代替するシステムを開発、有効性を確認

トンネル掘削時の動画をAIが解析し、地山の状態をレポート

2022年10月13日(木)IT Leaders編集部

福田組(本社:新潟県新潟市)は2022年10月11日、トンネル技術者の現場の立ち会い業務をAIで代替するシステムを開発し、有効性を確認したこととを発表した。トンネル掘削時の動画をAIが解析し、地山の状態をレポートするシステムをNECと共同で開発。これにより、長時間の現場の立ち会いから技術者を解放するとしている。施工中の「岐阜山県第一トンネル」(仮称)の一部区間で試行し、今後、全国のトンネル現場に展開する計画である。

 福田組は、トンネル技術者の現場の立ち会い業務をAIで代替するシステムを開発し、有効性を確認した。NECと共同で、トンネル掘削時の動画をAIが解析し、地山の状態をレポートする仕組みを開発した。長時間の現場の立会いから技術者を開放するとしている。施工中の「岐阜山県第一トンネル」(仮称)の一部区間で試行し、今後、全国のトンネル現場に展開する計画である(図1)。

図1:開発したシステムの概要(出典:福田組、NEC)
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 福田組によると、トンネル技術者は1日1回の頻度で切羽を観察し、地山の良否を評価し、追加対策の要否を判断している。一方、トンネル技術者が切羽に長時間立ち会い、掘削時の地山挙動を直接観察することは、働き方改革や生産性向上の観点から好ましくない。

 こうした経緯から福田組は、トンネルの掘削状況を自動で観察するシステムを開発した。さらに、システム化によって掘削後の切羽だけでなく掘削時の地山の崩れ方や音といった動的な挙動も合わせて観察し、より的確な地山評価が行えるようになる。

 開発したシステムは、市販のビデオカメラ、学習済みAIモデルを搭載した解析サーバー機、解析結果を可視化する閲覧アプリケーションで構成する。要素技術として、従来型の画像解析技術、AI画像認識技術、音声解析技術を活用している。AI画像認識技術には、NECの「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」を使っている(関連記事GPU/FPGAで深層学習/顔認識の性能向上――NECが画像認識ソフトを強化)。

 同システムではまず、切羽で撮影した掘削時の動画をクラウドにアップロードし、解析サーバーで解析する。解析の結果、掘削によって地山の崩れる様子を自動で検知。これに基づいて地山状態の良否を評価する。これまでトンネル技術者が現場に立ち会って実施していた地山状態の良否評価をシステム化する。

 解析の結果は、動画経過時間と、地山状態を評価したレベル表記との関係をグラフ化した、経時変化図のレポートとして出力する。グラフ上の任意点を選択すると、該当する時間の撮影シーンを確認可能。現場のトンネル技術者は、評価結果と検知箇所の動画を確認することで、追加対策の要否の判定を容易に行える。

 今回、福田組は、施工中の「岐阜山県第一トンネル」(仮称)の東地区工事の一部区間で同システムを試行し、有効性を確認した。掘削時のこそく作業の様子を撮影した動画と地山状態のカテゴリ分類を、AI画像認識の教師データとして機械学習させている。

 検証の結果、掘削時に地山が崩れる様子は、小規模な崩れ方の場合は坑内照明に起因して検知困難なケースもあったが、ある程度の規模であれば概ね検知できたという。また、レポートにおける地山状態のレベル判定は概ね妥当だった。

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