富士通は2022年10月17日、データ流通クラウドサービス「Fujitsu Computing as a Service Data e-TRUST」を発表した。異なるシステムやサービス間での安全なデータ流通と活用を実現するAPI群である。2022年度中に一般提供を開始し、 順次グローバルにも展開予定。長瀬産業が同年10月13日に自社のサプライチェーンに先行導入している。
富士通の「Fujitsu Computing as a Service Data e-TRUST」は、異なるシステムやサービス間での安全なデータ流通・活用を行うためのAPI群で、クラウドサービスとして提供する(図1)。
同社が2022年10月中に国内提供を開始する「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」の新サービスとして提供する。Data e-TRUSTをはじめとしたサービスを2023年度に順次グローバル展開するとしている。
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流通するデータの発行元や所有権、真正性を証明する。さらに、データ取引の証跡を改竄不能な形で管理する。これにより、デジタル取引における情報の認証と、自由なデータ流通を両立し、金融や製造、流通、医療分野などの課題を解決するとしている。
主な特徴として、(1)オンデマンドな分散データ流通の仕組み、(2)デジタルIDやeシールといった電子証明機能、(3)ブロックチェーンを拡張した台帳機能を挙げている。
(1)個人や企業ごとに秘匿化した分散データベース間で、連携させたいデータの項目を細かく制御する。個人情報のやり取りに関しては、ユーザー本人による同意を取得したうえでデータを送信する。これにより、個人や企業をまたいだ分散データ連携を実現する。さらに、個人や企業は、データを自己管理したうえで複数の企業やサービスに渡す。これにより、流通先やプライバシーを細かく制御し、データのオーナーシップや情報開示のガバナンスを強化する。
(2)活用するデータが正しい情報であり、かつ改竄されていないことを保証する。デジタル上での情報の正しさを担保したい各種の認証で利用できる。例えば、個人のスキルや経歴、企業の実績などのチェックによって認証プロセスを強化する。顧客情報の相互連携によって契約手続きなどをワンストップ化する。電子文書やデジタルコンテンツの著作権/所有権を管理する。
(3)ブロックチェーンを拡張し、個人や企業をまたがった一連の取引履歴を一元管理する。個人や企業がやり取りする取引や活動の証跡を紐づけ、改竄不能な形で管理する。これにより、デジタル取引の履歴を、事業活動の健全性や社会貢献のエビデンスとして活用可能になる。例えば、CO2排出量に関わるカーボンフットプリントや消費者行動データを連携させることで、サプライチェーンやバリューチェーンを可視化可能である。
Data e-TRUSTの先行ユーザーとして、化成品・医薬品などを扱う商社の長瀬産業(本社:大阪府大阪市)が同年10月13日に導入した。 同社の化学品ドキュメント配付
Data e-TRUSTを提供する背景として富士通は、グローバルサプライチェーンなど、個人や企業、業界を超えてつながるデジタル世界の実現が求められていることを挙げる。「デジタル上でのデータを、信頼できる形でつないで流通/活用する仕組みが求められている」(同社)。