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旭化成とTIS、ブロックチェーンや微細パターン印刷を用いた偽造防止システム「Akliteia」をアパレル業界向けに提供
2022年10月18日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
旭化成とTISは2022年10月18日、偽造品防止システム「Akliteia(アクリティア)」を発表した。製品に偽造防止ラベルを付けることで、真贋を判定できるようにするシステムである。皮革製品・鞄などのアパレル業界に向けて、同年10月に提供を開始している。旭化成は、偽造防止ラベルの製品への直接実装や、下げ札などを用いた実装ができるシステムを提供する。偽造防止ラベルを製品に縫い込むことで、真正品であることを長年にわたって担保できるようになる。
旭化成とTISの「Akliteia(アクリティア)」は、製品に偽造防止ラベルを付けることで、真贋を判定できるようにするシステムである(図1)。皮革製品・鞄などのアパレル業界に向けて提供する。旭化成は、偽造防止ラベルの製品への直接実装や、下げ札などを用いた実装ができるシステムを提供する。偽造防止ラベルを製品に縫い込むことで、真正品であることを長年にわたって担保できるようになる。
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システムは、(1)偽造防止ラベル、(2)真贋判定デバイス、(3)ブロックチェーン、の3つの要素で構成する。これらにより、「真正性の担保」と「原本性の担保」の両方を実現する。偽造品の発生状況を定量的に可視化できるようになる。
(1)偽造防止ラベルは、旭化成の材料と技術を用いて製造した透明なラベルである。サブミクロン解像度の特殊パターン(1ミクロンを下回る細さで描かれた微細なパターン)を印刷している。この偽造防止ラベルを、対象の製品に実装する。
(2)真贋判定デバイスは、偽造防止ラベルをスキャンする。製造工場、物流倉庫、小売店舗/EC倉庫など、サプライチェーンの各拠点でスキャンすることで、各拠点で製品が真正品であるかどうかを確認でき(真正性の担保)、偽造品の排除や真正品の数量把握が可能になる。
(3)ブロックチェーンは、真贋の判定結果を記録する。TISのブロックチェーン基盤「Corda」を用いて構築したクラウドサービス「Akliteiaネット」に記録する。偽造品の発生状況を、サプライチェーン全体で共有する(原本性の担保)。サプライチェーンのどの段階で偽造品が多く混入したかなど、被害実態を定量的に把握・可視化できるようになる。
取り組みの背景として両社は、皮革製品・鞄などのアパレル業界が偽造品によって脅かされている状況を挙げる。「偽造品の混入によって、偽物を手にしてしまった最終消費者にとっては、財産の損失や、ブランドに対する失望につながってしまう。1次流通だけでなく、中古品の市場である2次流通においても、偽造品のリスクは存在する」(両社)。