[市場動向]
東京海上日動と日本IBM、インフラ設備の計画外保全費を補償する保険商品を共同で開発
2022年11月9日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
東京海上日動火災保険と日本IBMは2022年11月9日、インフラ設備を持つ事業者に向けて、設備保全データを活用した新たな保険商品と付帯サービスを共同で開発すると発表した。システムから得られる設備保全データを活用して、計画外保全の費用を補償する保険商品である。まずは2023年度に数社を対象に実証実験を始め、2023年度中の保険および付帯サービスの提供を目指す。
東京海上日動火災保険と日本IBMは、インフラ設備を持つ事業者に向けて、設備保全データを活用した新たな保険商品と付帯サービスを共同で開発する。システムから得られる設備保全データを活用して、計画外保全の費用を補償する保険商品である。まずは2023年度に数社を対象に実証実験を始め、2023年度中の保険および付帯サービスの提供を目指す。
開発するサービスの1つは、計画外保全の費用を補償する保険商品である。日本IBMの設備保全管理システム「IBM Maximo Application Suite」(IBM Maximo)を使って分析した設備スコアリングなどのデータをもとに、計画外保全費や緊急対応費用といった想定外のコストを保険金として支払う。
計画外保全にかかる費用を保険としてあらかじめ予算に組み込むことで、計画外の事由が発生した際にも、保全計画を着実に遂行できるようになる。背景として、保全計画を立案しても、予見できずに計画外の保全が発生し、保全計画全体が影響を受ける実態がある。
開発するもう1つのサービスは、保全計画の立案を支援するサービスである。設備ごとの使用状況や工場運営における各設備の影響度といった保全データと、東京海上日動が持つインフラ設備のリスク情報を組み合わせ、IBM Maximoを使って分析し、優先的な保全が望ましい設備対象を特定する。これにより、計画の策定を省力化するとともに、計画外保全が発生する確率を下げる。同サービスは保険の付帯サービスなどによる提供を予定している。
「工場稼働のためのポンプ・発電機・電源設備などといったインフラ設備を持つ事業者は、設備の高経年化、技術・技能継承力の低下、人材の高齢化と長期的な不足、自然災害の激甚化といった課題に直面している。適切な保全計画を実行するためには、設備の全体像を踏まえた保全計画の立案や、計画外の保全が発生した際の予算確保が課題である」(両社)