NECは2022年11月30日、「ゲートレス生体認証システム」を開発したと発表した。1人ずつ通過させるゲートを用いず、多人数が自然に歩いて入場しても認証できるようにして、入場ゲートでの混雑を緩和する。顔認証技術と人物照合技術を組み合わせて実現した。各種シーンでの検証を進め、2024年度の実用化を目指す。
NECが開発した「ゲートレス生体認証システム」は、通過ゲートを用いない生体認証システムである。多人数が自然に歩いて入場しても認証できるようにする。
テーマパークやオフィス・工場などの入場口に多人数が集中した場合、フラッパーゲートや警備員を通じて入場を許可する通用門では、長い行列ができて混雑が発生する。ゲートレス生体認証システムでは、立ち止まることなく一人ひとりを認証することで混雑を緩和する(写真1)。
カメラ1台の認証設備で、多人数の同時認証が可能である。服装の特徴で照合する人物照合技術と動きの特徴で追跡する技術を併用し、これに顔認証を組み合わせることで、1台のカメラで1分間に100人以上を認証するとしている。あらかじめ設定した入場エリア内のカメラ映像から同一人物を追跡し、顔をとらえた時点で顔認証する。この仕組みによって、多人数をリアルタイムに認証する(図1)。
意識的に顔をカメラに向けることなく、自然に歩いていて、またマスクを着用していても本人を認証でき、利用者に負担をかけずにスムーズな入場を実現するとしている。認証時には事前にダウンロードしたアプリやメールで本人に認証が完了したことを通知する。事前に顔画像を登録していない人が通過した場合は、利用者の頭上や床面などに設置したディスプレイで視覚的にアラートを示す(図2)。