[市場動向]
凸版印刷、5G電波を吸収して通信品質を高める壁紙「ミリ波吸収体」シートを開発
2022年12月5日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
凸版印刷は2022年12月5日、オフィスや工場において5Gの電波を効率よく通信できるようにする「ミリ波吸収体」のシートを開発したと発表した。壁や天井などに貼って使うことで、5Gの電波を吸収して反射を抑え、電波の干渉によって通信品質が悪化する現象を防ぐという。軽量・薄膜で壁紙としての意匠性があり、従来品と比べて約96%の軽量化を実現したとしている。
凸版印刷は、オフィスや工場において5Gの電波を効率よく通信できるようにする「ミリ波吸収体」のシートを開発した。壁や天井などに貼って使うことで、5Gの電波を吸収して反射を抑える。電波の干渉によって通信品質が悪化する現象を防ぐ。軽量・薄膜で壁紙としての意匠性があり、従来品と比べて約96%の軽量化を実現したとしている(図1)。
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独自のメタサーフェス構造を持つシートにより、1つの吸収体で複数の周波数帯を選択的に吸収できるようにした(図2)。5G通信における周波数30GHz(波長10mm)~周波数300GHz(波長1mm)のミリ波で、反射電波の90%以上を吸収するとしている。これにより、無線通信機器が出力した電波の干渉や漏洩を低減する。
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「5Gで使うミリ波は、大容量データを高速に通信できる一方で、電波の干渉や漏洩、損失などが起こりやすく、通信速度の低下や遅延などにつながるという課題がある。これに対して各種の電波吸収体が用いられているが、室内空間との調和が取りづらいことや厚みや重量により室内設置が難しいなどの課題がある」(凸版印刷)。
今回、オフィスの壁などに設置しやすい軽量・薄膜の電波吸収体を開発した(写真1)。従来品と比べて約96%軽量化したという。表面加工が可能で、木目調や大理石調など、壁紙としての意匠性を持たせることが可能で、オフィス室内や工場建屋内の天井や壁にも向く。
凸版印刷は、将来的にはテラヘルツ波向けの電波吸収体へと応用するための開発を進めていく。
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