食品スーパーを運営する富士シティオ(本社:神奈川県横浜市)は2023年2月15日、AI需要予測による発注自動化サービスを全店舗で同月稼働開始すると発表した。発注自動化サービスとしてBIPROGYの「AI-Order-Foresight」を導入した。先行して導入した店舗では、対象商品の発注作業時間を5割短縮したほか、欠品や廃棄を減らしている。
食品スーパー「Fuji」「デリド」を運営する富士シティオが、AI需要予測による発注自動化サービスを全店舗で稼働開始する。発注自動化サービスとしてBIPROGYの「AI-Order-Foresight」を導入した。先行して導入した店舗では、対象商品の発注作業時間を5割短縮したほか、欠品や廃棄を減らしている。
同社は従来、グロサリー商品(加工済みの商品や常温で販売する商品)については自動発注システム(セルワンバイワン)方式を導入していたが、日配品(生鮮食品を除く消費・賞味期限が短い食品)については、従業員が手作業で発注していた。日配品は消費期限が短いため、経験から需要を予測する必要があったという。
人手による予測と発注は、予測精度や発注作業の効率の面で課題があった。さらに新型コロナウィルス感染症の影響で、市場環境や消費者の購買行動が変化していた。こうした状況の中、事前検証で効果を確認できたことから、AI-Order-Foresightを用いたAI需要予測に取り組む。
富士シティオは、発注自動化サービスの導入効果として以下を挙げている。
- 発注作業の効率化と精度向上で働き方を改革
AI-Order Foresightで算出した各商品の発注数量を発注端末(EOB:電子オーダブック)に毎朝表示して異常値だけを確認する。これにより、作業を減らしつつ精度が向上した。 - 社会状況の変化に追従
新型コロナウイルス感染拡大の影響で生じた環境の変化に対しても、各種データから将来の需要を予測。発注数量を高精度に算出し、現場の効率を改善した。 - 販売機会、廃棄ロスを削減
AIを活用した高精度の発注が可能になった。商品の欠品が減少することで、販売機会ロスを防ぎ、廃棄ロスを削減した。 - 人手不足を解決
経験が少ない従業員でも高精度に発注できるようになった。新規採用した従業員を早期に戦力化できるようになった。
富士シティオは今後、精肉加工品・惣菜・カット野菜など、ほかのカテゴリについても発注自動化サービスを展開する計画である。
同社が採用したAI-Order-Foresightは、販売実績・気象情報・特売企画情報などの各種データを基に、小売店舗における日々の商品発注数を自動算出する。作業負荷や難易度が高い業務を自動化して、従業員の経験やスキルに依存しない店舗運営や、機会ロスと廃棄ロスの削減を図る。また、従来の自動発注システムは、精度を維持するために予測モデルのチューニングが必要だったが、AIの自動チューニング機能によりメンテナンスフリー運用が可能である。