矢野経済研究所は2023年3月6日、国内企業におけるERP(財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCM)およびCRM/SFAアプリケーションのパブリッククラウド稼働基盤(IaaS/PaaS)利用率について調査結果を発表した。人事・給与アプリケーションのクラウド利用率が2020年の9.0%から2022年には20.7%に、CRM/SFAアプリケーションのクラウド利用率が2020年の16.1%から2022年には32.1%になるなど利用率が大きく伸びている。
矢野経済研究所は、2022年6月から10月にかけて、国内の民間企業を対象にERP(財務・会計、人事・給与、販売管理、生産管理・SCM)およびCRM/SFAアプリケーションの導入実態に関する調査を実施した。有効回答数は509件。同テーマの調査を隔年で実施しており、パブリッククラウドのアプリケーション稼働基盤(IaaS/PaaS)の利用率を経年比較している(図1)。
図1:業務アプリケーションのシステム基盤におけるパブリッククラウドの利用率(出典:矢野経済研究所)拡大画像表示
今回(2022年)の調査で特徴的なのは、業務アプリケーションの稼働基盤(利用環境)として、パブリッククラウドの利用率が大きく伸びていること。2016年調査からの利用率の推移を見て、近年は利用が加速している。
領域ごとに前回(2020年)調査の利用率と比較している。ERPでは、財務・会計で2020年の8.9%から2022年の17.9%に増加。人事・給与で9.0%から20.7%に、販売管理で5.9%から15.2%に、生産管理・SCMで5.1%から13.0%にそれぞれ増加している。また、CRM・SFAでも16.1%から32.1%に増加と、いずれもほぼ倍増している。
矢野経済研究所は、こうしたクラウド化の加速は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴う動きであると見ている。「スピードや柔軟性が求められるDXにおいては、クラウド(IaaS/PaaS、SaaS)の利用が不可欠。DXの機運の高まりにより、業務アプリケーションへの投資意欲はコロナ禍にあっても衰えることなく堅調である」(同社)。
「特に、ERPは導入後10~20年が経過し、老朽化したシステムを使い続けているケースが多い。DXを進めるためにレガシーシステムからリプレースする需要が拡大している。一方、CRM/SFAはERPより導入時期が新しく、DXにおけるデータ活用や事業強化を目的として、戦略的に新しいシステムを導入する企業が増えている」(同社)
同社によると、企業方針として、システム稼働基盤をAWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle Cloudなどの大手パブリッククラウドにシフトする企業が増えているという。この影響もあり、業務アプリケーションをオンプレミスからクラウド基盤に移行するニーズは堅調としている。
アプリケーション側でも、SaaSの利用が拡大している。「特にバックオフィス系のシステムは企業間での業務内容の差が小さいため、複数のユーザーが共同で利用するマルチテナント型のSaaSで利用しやすい。ITベンダーが提供しているサービスの種類が多い財務・会計や人事・給与といったバックオフィス系のシステムでSaaSの利用率が高まっている」(同社)
同社は、業務アプリケーションについて、システム基盤とアプリケーションの両面で「クラウドファースト」での利用が進んでいくと予測している。
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