矢野経済研究所は2023年4月17日、国内の画像解析システム市場の調査を実施し、主要4分野(車両認識、顔認証、マーケティング、外観検査)の動向や関連事業者の戦略、市場の将来展望を発表した。2022年度の市場規模は前年度比15.0%増の60億6000万円を見込む。顔認証分野の画像解析が急速に拡大しており、分野別では濃淡がある。
矢野経済研究所は、国内の画像解析システム市場の調査結果を発表した(図1)。2022年度の市場規模(主要4分野計、ベンダー売上高ベース)は前年度比15.0%増の60億6000万円を見込む。市場は急速に拡大傾向にあるものの、分野別の成長率に関しては濃淡が出る見込み。
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同社によると、画像解析はこれまで、コスト高や投資効果の不透明さなどの理由から、本格的な投資に踏み切れない状況が続いていた。こうした中、車両認識、顔認証、マーケティング、外観検査の主要4分野で、ようやく画像解析システムの導入が進展しつつある。画像解析ソフトウェア市場が立ち上がりつつあるという。
「もともと画像解析ソフトウェアや画像解析エンジンは、AI系のベンチャーが事業化を目指し、各種のトライアルを繰り返してきた。しかし、現在では、AIによる画像解析技術のコモディティ化が進展しつつある」と同社は指摘する。
「コモディティ化の動きに拍車をかける動きとしては、フリーソフトウェアの登場や、特に米国IT大手による汎用のAIソフトウェアの展開、中国などアジア系の低価格ソフトウェアなどがある。また、大手監視カメラメーカーやアイリスオーヤマ、セーフィーなどの新興カメラメーカーも、自社の機器にこうしたAIによる画像解析ソフトウェアを採用し、画像解析機能を備えている」(同社)
今後は、人手不足が顕在化している分野において、人に代わって業務を代替できる画像解析システムの導入が急速に拡大すると同社は見る。これにより、2021年度から2025年度までのCAGR(年平均成長率)は19.2%で成長し、2025年度の市場規模は106億5000万円に拡大すると予測する。
一方で、技術的な課題の1つとして認識率を挙げる。外部環境にも影響されることから、「どれだけ優れたアルゴリズムであっても認識率を100%にすることは難しい」(同社)という。