日本IBMは2023年5月24日、説明会を開き、企業向けAIモデル作成・運用プラットフォーム「IBM watsonx」の概要を説明した。学習済みの汎用の基盤モデルを活用して企業固有のAIモデルを作成可能なAI基盤である。AI作成ツール、企業固有データの管理基盤、ライフサイクル管理の3機能で構成し、同年7月から順次提供を開始する。
日本IBMの「IBM watsonx(ワトソンエックス)」は、企業向けのAIモデル作成・運用プラットフォーム。学習済みの汎用の基盤モデルを活用して企業固有のAIモデルを作成可能である。AI作成ツール「watsonx.ai」、企業固有データの管理プラットフォーム「watsonx.data」、ライフサイクル管理ツール「watsonx.governance」の3機能で構成し、同年7月から順次提供を開始する(図1)。
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「AI技術の進化に合わせ、企業が作成するAIモデルの姿が変わった。基盤モデルを使うことが標準的になってきた」と同社は指摘する(図2)。基盤モデルは、2017年頃に登場したAIモデルのアプローチ。これまでの課題だった、学習の負荷やコストが大きいという問題を解消する。
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従来のアプローチは、翻訳や分類などの目的ごとのタスクに対し、これらに応じたラベル付きの学習データを大量に集めて学習させ、用途に応じたAIモデルを都度作るというもの。それぞれの用途に特化したAIモデルなので、別の用途に転用できない。その都度大量のデータを集めなければならないため、コストがかかるアプローチである。
基盤モデルによるAI開発は、こうした問題を解消する(図3)。大量のデータに対し、自己教師あり学習で大規模で汎用的な基盤モデルを作る。作成した基盤モデルに対して少量の追加学習データを加えて微調整をかけ、目的ごとのAIモデルとしてチューニングする。
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ただし、基盤モデルのアプローチでAIモデル作成コストを下げたとしても、こうして作成したAIモデルが企業の業務で使うものとして適切かどうかは、別途管理しなければならない。IBMは、AIモデルの正確さ、AIモデルを作るために集めたデータの出自、AIの挙動の透明性/説明性などに注意を払う必要があると説明した。
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