アイ・ティ・アール(ITR)は2023年5月30日、国内のNDR(Network Detection and Response:ネットワーク検知・対処)市場における規模の推移と予測を発表した。2022年度のNDR市場は、前年度比39.3%増を予測している。攻撃手法の巧妙化によって、侵入後のリアルタイム検知・対処の需要が高まるという。
アイ・ティ・アール(ITR)は、国内のNDR(ネットワーク検知・対処)市場における規模の推移と予測を発表した。2021年度の売上金額は43億円で、前年度比57.5%増だった。2022年度は、前年度比39.3%増の59億9000万円になると予測している(図1)。
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従来のファイアウォールやIPS(侵入防止システム)は、外部からの侵入を防ぐが、これに対してNDRは、ネットワーク全体を可視化してトラフィックの異常を検知し、侵入した脅威に迅速に対処し、被害を最小限にとどめる。
ITRによると、ファイアウォールやIPSでは防御できない巧妙なサイバー攻撃の増加を背景に、NDRの需要と参入ベンダーも増え、市場は成長を続けているという。こうした動きから、同市場のCAGR(年平均成長率。2021~2026年度)は15.4%となり、2026年度には88億円に達すると予測している。
「エンドポイント向けのEDR(エンドポイント検知・対処)/NGAV(次世代ウイルス対策)が普及しているが、工場のようにこれらを導入できない環境もある。NDRは、こうしたネットワーク環境で有効で、IoTの普及とともに市場が拡大する」(ITR)
今回の発表は、レポート「ITR Market View:情報漏洩対策市場2023」に基づく。同レポートは、エンドポイント暗号化、IRM(Information Rights Management)、メールアーカイブ、メール誤送信防止、データベース監査・保護、統合ログ管理、SIEM(Security Information and Event Management)、UEBA(User and Entity Behavior Analytics)、NDR、画面操作監視の10分野を対象に、国内56ベンダーへの調査による2020~2021年度売上実績および2026年度までの売上予測を掲載している。