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三井住友トラストHD、コンタクトセンター十数拠点に大規模言語モデルを導入、ナレッジを自動生成

2030年を目処に次世代コンタクトセンターを実現

2023年9月7日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三井住友トラスト・ホールディングス(本店:東京都千代田区)は、生成AI/大規模言語モデルなどのAI技術を適用する次世代コンタクトセンターの構築に取り組んでいる。2023年8月時点で定めた5つの領域への開発に着手し、今後、グループ数十拠点への実装と、2030年を目処にした次世代コンタクトセンターの実現を目指す。システム構築を支援するAIベンダーのPKSHA Technologyが2023年9月6日に発表した。

 三井住友信託銀行を中核とする三井住友トラスト・ホールディングスは、グループ全体で十数拠点のコンタクトセンターを展開している。同社は現在、生成AI/大規模言語モデルなどのAI技術を適用する「次世代コンタクトセンター構築プロジェクト」に取り組んでいる(図1)。

図1:コンタクトセンターにおける生成AI活用イメージ(出典:PKSHA Technology)
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 2030年を目処に、次世代コンタクトセンターを実現する予定。2025年までに全拠点にAIを実装し、同年から営業店での活用開始を目指す。まずは、コンタクトセンター全拠点のうち5拠点を対象に検証を進め、横展開を図る。

 「顧客応答の高度化」で3領域、「コンタクトセンター運営の最適化」で2領域、合わせて5つの領域を掲げ、2023年8月現在でこれらの開発に着手済みで、それぞれの概要は以下のとおり(表1)。

表1:三井住友トラスト・ホールディングスが次世代コンタクトセンターの実現で取り組む5つの領域(出典:PKSHA Technology)
顧客応答の高度化 ChatGPTを活用して円滑な対話体験を実現
ChatGPTを活用してFAQ/オペレーターの回答を支援するナレッジを自動生成
音声をテキスト化・要約して受電後の事務作業を効率化
コンタクトセンター運営の最適化 コール量を予測
オペレーターのシフトを自動作成

ChatGPTを活用して円滑な対話体験を実現

 オペレーターは、顧客からの問い合わせに対して各種の情報を検索しながら応対している。新たな情報検索手段としてChatGPTを導入する。複数のナレッジを横断検索しながら、自然な回答文を表示できるようになる。ChatGPTの検索対象とするナレッジとしてまずは公開FAQを利用する。その後、Web情報や社内文書などへと段階的に広げていく。

ChatGPTを活用してFAQ/オペレーターの回答を支援するナレッジを自動生成

 ChatGPTを活用して、規約文書や通話テキストなどの独自データからFAQなどのナレッジを自動生成し、FAQのメンテナンスにかかる業務負荷を軽減する。追加したFAQや優秀なオペレーターの対応ログを、回答文生成における検索対象として追加する。対応実績が増えるにつれて、コンタクトセンター全体の対応品質が向上する。

音声をテキスト化・要約して受電後の事務作業を効率化

 対話内容を自動で書き起こして要約することで、受電後のオペレーターの情報記録にかかる業務(アフターコールワーク)を減らす。また、要約の段階でコンプライアンスの観点から内容を整理し、会話ログをナレッジ化する。顧客の声(VOC)をサービスの改善につなげられるようになる。

コール量を予測

 コール量は、法律・条令の変更、為替・株価・金利などの外部要因によって変わるため予測がしにくく、オペレーターの配置に過不足が発生していた。3~6カ月先までの入電数をAIが予測し、応答率の向上、適正配置によるコストの低減、顧客の待ち時間最小化などを図る。

オペレーターのシフトを自動作成

 AIでシフトを自動作成してシフトの調整・作成の負荷を軽減する。シフトの作成にあたっては、オペレーターの希望を考慮するほか、過剰出勤や特定のオペレーターへのシフトの偏りをなくす。各拠点の管理方法を均一化することで、グループ全体で運営を適正化できる。

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