アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2023年10月3日、説明会を開き、同年9月に提供開始した生成AIプラットフォーム「Amazon Bedrock」の機能を解説した。先行ユーザーとして竹中工務店とKDDIが登壇し、Bedrockの活用方法や効果を紹介した。竹中工務店は、用意された基盤モデルをベースに社内の専門知識から高精度な回答を得られるように、検索エンジン「Amazon Kendra」と組み合わせた建設業ナレッジ検索システム「デジタル棟梁」を構築している。
AWSは、生成AIプラットフォーム「Amazon Bedrock」を、東京リージョンを含む各リージョンで2023年9月から一般提供している。Bedrockは、生成AIシステムを自前で構築することなく、APIを呼び出すことで基盤モデルを利用可能にする。サードパーティ製を含めた複数の基盤モデルを用意しており、業務の用途に合わせて選択し、切り替えて利用できる(図1)。
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基盤モデルをベースに、ファインチューニング/RAGが可能
Bedrockでは、基盤モデルを標準の知識のまま使うだけでなく、カスタマイズ(ファインチューニング)が可能である。基盤モデルをベースに、少量のラベル付きデータで追加学習した、企業の需要に合う基盤モデルを構築する。これにより回答精度が向上する。ユーザー専用にコピーした基盤モデルに対してカスタマイズすることから、独自の学習内容などが外部に漏洩することはない(図2)。
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また、検索エンジンなどのフロントエンドシステムを構築することで、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)手法にも対応する。基盤モデルを使いつつ、社内のナレッジも情報ソースに利用して、それを基にした高精度な回答が得られる。ユーザーは、社内文書を検索して情報を抽出し、抽出した情報と合わせて基盤モデルに質問を投じることで回答が生成される。
建設業の専門知識を用いて回答を生成─竹中工務店
説明会には、Bedrockを先行利用するユーザーとして、竹中工務店とKDDIが登壇し、それぞれの取り組みを紹介した。
竹中工務店は、2019年6月中旬からBedrockの試用を始め、複数の基盤モデルを簡単に使い分けられることなどを評価している。例えば、同社のプレスリリース(約1300文字)を要約する使い方では、基盤モデルの違いによって出力が異なるという。
業務利用では、「デジタル棟梁」と呼ぶ、業務ノウハウを学ぶためのアプリケーションを構築・運用している。建設業の専門知識を利用した回答が得られるように、AWSのサービスを組み合わせてRAGの仕組みを実装し、検索エンジンとしてAmazon Kendraを組み合わせている。検索対象の専門情報として、社内ルール、技術標準類、ノウハウ集などを使う(図3)。
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●Next:RAGと標準モデルにおける、得られる回答の具体的な違い
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