[ユーザー事例]
東和電気、データ活用基盤を基にした業務改革に着手、データをクラウドに集約して分析
2023年10月11日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
エレクトロニクス分野の専門商社である東和電気(本社:東京都港区)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたデータ活用基盤の構築・整備に取り組んでいる。まずは社内データをクラウドに集約してBIレポートを自動生成する仕組みを構築し、2023年4月より運用を始めている。今後、ベテラン営業担当者の暗黙知となっていた商品加工情報のデータベース化を計画し、仕入先・得意先との新たなビジネスモデルを創出するとしている。取り組みを支援するビジネスエンジニアリング(B-EN-G)が同年10月11日に発表した。
東和電気は、モビリティ、家電、医療機器、重電、IoTデバイスなど各分野のメーカーを顧客に持つ、エレクトロニクス分野の専門商社である。幅広い顧客のニーズに応えるため、約1500社のサプライヤーと取引関係を結んでいる。
同社は、市場や顧客を理解したうえで付加価値の高い事業を拡大することを目指してデータの高度な活用に注力している。例えば、素材や部品を仕入れて販売するだけでなく、顧客のニーズに合わせて加工を施している。その際、顧客から指定された商品加工の組み合わせだけでなく、同社から商品加工の組み合わせを提案している(図1)。
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もっとも、これまで商品加工の提案はベテランの営業担当者の暗黙知だったという。今回、これをデータベース化することで、中堅・若手社員のスキルを底上げするプロジェクトを開始した。商品加工提案データと商談データを組み合わせ、顧客満足度を高める仕組みも構築する(図2)。
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データをAzureに集約し、Power BIで可視化・分析
2022年12月に、データ活用基盤を構築・整備するプロジェクトが始動した。まずは社内の各部門・各業務で利用している既存の情報システムのデータをクラウドに集約し、BIダッシュボードで可視化する仕組みを4カ月で構築した。約30種のレポートを定義し、2023年4月に本稼働を開始している。
同社によると、これまで経営会議の資料は複数のシステムから手作業でデータを収集、Excelで加工の後、BIツールを使って作成していたという。今回構築したデータ活用基盤では、社内データをパブリッククラウドのMicrosoft Azureに集約し、「Power BI」でレポートを自動生成する。こうして必要な情報を最新の状態で確認できる仕組みを整えた。
定義した約30種のレポートは、ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の支援を得て東和電気みずから作成した。同年4月の本稼働後も現場のエンドユーザーの声に応えるかたちで、同社の情報システム部門自身がレポートを新規作成している。
2024年からは、次のステップとして商品加工提案データベースの構築を計画し、商品加工提案データと商談データを組み合わせて顧客満足度を向上させる仕組みを構築する。2026年下期には、データ活用基盤の現状のロードマップが完成する予定である。
●Next:B-EN-Gによるスモールスタート型のプロジェクト支援内容
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