NECは2023年12月19日、オンライン本人確認(eKYC)ソフトウェア「Digital KYC本人照合SDK」で「公的個人認証サービス(JPKI)」による本人確認に対応したと発表した。同日、金融機関など事業者向けに提供を開始した。本人確認の手段として、本人証明書類とカメラを用いた顔認証と、マイナンバーカードの電子証明書の両方を使えるようになった。価格(税別)は年間利用件数に応じて変動し100万円から。販売目標は2026年度までに30社。
NECの「Digital KYC本人照合SDK」は、オンライン本人確認(eKYC)ソフトウェアである。SDK(ソフトウェア開発キット)として提供する。スマートフォンアプリに組み込むことで、本人確認の照合作業がスマートフォンで完結する。アプリケーションへの組み込みは最短数日で完了するとし、開発時の動作確認用アプリも用意している。
同ソフトウェアはこれまで、犯罪収益防止移転法(犯収法)に則した本人確認手段として、運転免許証や在留カード、マイナンバーカードなどの本人確認書類を使った顔認証を採用していた。これらのカード券面/ICチップの顔写真、顔情報とスマートフォンのカメラで撮影した顔写真を照合して本人確認を行う。
拡大画像表示
今回、新たにマイナンバーカードのICチップに含まれる電子証明書を利用した「公的個人認証サービス(JPKI)」を本人認証の手段として使えるようにした。事業者は、1つのアプリで本人確認手段を選択可能になった。その際、顔認証と公的個人認証を組み合わせることもできる。
なお、公的個人認証サービスは、マイナンバーカードのICチップに記録された電子証明書を使って本人を確認する。現在、犯収法における非対面での本人確認方法として複数の方式が認められているが、2025年以降は公的個人認証サービスに原則一本化される予定である。
公的個人認証と顔認証の組み合わせで、利用者本人であることの真正性を確実に確認できる。例えば、パスワードを記したメモと一緒に盗難に遭ったマイナンバーカードの不正利用を防ぐ。顔認証を行わない公的個人認証と使い分けて、高額取引などハイリスクな取引時には両者を組み合わせる運用にも対応する。
関連して、Digital KYC本人照合SDKでは、スマートフォンでマイナンバーカードのICチップを読み取る際、カードをかざす位置を画面上でガイドする機能を追加した。機種によって異なる読み取り位置を画面上でガイドする(図2)。
拡大画像表示