[市場動向]

NTT、100km離れたデータセンター間を全光ネットワークのIOWN APNで接続、遅延1ミリ秒以下を実証

2024年4月15日(月)IT Leaders編集部

NTTとNTTデータグループは2024年4月12日、英国と米国の同社保有データセンターにおいて、2つのデータセンター間をオールフォトニクスネットワーク(APN:全光ネットワーク)のIOWN APNで接続する実証実験を行ったと発表した。約100km離れたデータセンター間を1ミリ秒以下の遅延時間で通信することを確認している。

 NTTとNTTデータグループは、英国と米国の同社保有データセンターにおいて、2つのデータセンター間をオールフォトニクスネットワーク(APN:全光ネットワーク)のIOWN APNで接続する実証実験を行ったと発表した。約100km離れたデータセンター間を1ミリ秒以下の遅延時間で通信することを確認している(関連記事NTT、エッジ拠点のカメラ映像を100km離れたデータセンターで高速にAI分析する実証実験)。

 NTTグループが挙げる次の課題に対処する目的で、今回の実証実験が行われた。「CO2排出量の制限、用地不足などを理由に、都市部でのデータセンター建設が困難となっている地域が多く、郊外にデータセンターを建設せざるをえないケースがある。地理的に離れたデータセンター間を接続する場合、データセンター間通信における遅延が大きくなってしまうため、低遅延で接続するというニーズに応えられない」(NTTとNTTデータグループ)。

 実証実験は、英国ではロンドン北西に位置するへメルヘムステッド(HH2)とロンドン東部のダゲナム(LON1)の両データセンター間で、米国ではバージニア州アッシュバーン(VA1、VA3)の両データセンター間でそれぞれ実施。NECのAPN機器で接続し、データセンター間の往復遅延および遅延ゆらぎを測定した(図1)。

図1:約100km離れたデータセンター間を低遅延で接続する実証実験の概要(出典:NTT、NTTデータグループ)
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 実証実験の結果、400Gbit/sの通信において、両データセンターを1ミリ秒未満の遅延、1マイクロ秒未満の遅延ゆらぎで接続できることを確認した(表1)。

表1:データセンター間を低遅延で接続する実証実験の結果(出典:NTT、NTTデータグループ)
  遅延 遅延ゆらぎ
英国 0.893ミリ秒 0.035マイクロ秒
米国 0.062ミリ秒 0.045マイクロ秒

 NTTによると、英国では、同実証実験と同程度の距離があるデータセンター間通信における遅延は2ミリ秒を超え、一般的なレイヤー2スイッチで構成した従来のネットワークでは数マイクロ秒から数十マイクロ秒の遅延ゆらぎが発生するという。

 大手クラウド事業者は、同一のデータセンターとして扱える条件を2ミリ秒以内と規定している。上記の計測結果は、一般的なクラウドアプリケーションで想定する遅延・遅延ゆらぎを下回るものである。

 NTTとNTTデータグループは、実証実験の結果から、企業ユーザーに向けては、リアルタイムAI分析処理や金融分野における郊外型データセンターとして、海外拠点においてもNTTデータグループのデータセンターの活用可能性を、クラウドサービス事業者に向けては、都市部と同一拠点相当のデータセンターとして同グループのデータセンターが活用可能性をアピールする。

 今後、金融分野など、分散データセンターのユースケースとなる分野において、ユーザーとの共同実証を行うことを検討し、業務に求められる要件を分散データセンターで満たせることをユーザーと共に確認していくとしている。

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